鈍感な横島は全く気がつかなかったが…

百合子は魔鈴の気持ちを見抜いていた

（報告書通りの人ね… 忠夫に気があるみたいね）


困ったような顔で居心地の悪そうな横島と、笑顔の百合子


雪之丞はあまり変わった様子は無いが、タマモは少し不思議そうに横島と百合子を見ていた…


魔鈴はそんな様子に気が付いた

「では席に座ってお待ち下さい。」

魔鈴はそう話してメニューを見せた


「じゃあ… 私はオススメディナーをお願いね」

百合子はメニューを見て注文した

横島達もそれぞれ注文して、魔鈴は厨房に入った

「忠夫にしてはいい店知ってるじゃないの～」

百合子は感心したように話した

「俺が知ってる店はうどん屋以外じゃ、ここだけだよ」

横島は相変わらず困ったような顔で話した

「あら、うどん屋詳しいの？ あんたそんなにうどん好きだったっけ？」

百合子は不思議そうに聞いた

「俺じゃねえよ。 タマモが狐うどん好きなんだよ」

横島はタマモを見て、少し苦笑いして答えた


「ああ、そう言うことね… タマモちゃんって妖狐なんだっけ…」

百合子は納得がいったように話した


その時、横島とタマモの表情が変わった…

横島もタマモも、妖狐の事は話して無かったのだから…

「お袋… なんでそれ知ってるんだ…？」

横島は少し警戒するように聞いた


「馬鹿息子が… 自分の親を疑うのかい？」

百合子は横島が警戒するような感じなのを感じて、睨むように話した


「タマモは立場が微妙なんだ… 場合によっては大変なことになる」

横島は百合子の睨みにも怯まなかった

そして警戒も解かない

タマモは不安そうに横島と百合子を見ていた…


横島が警戒して

百合子が睨む…


沈黙が続いた


それを破ったのは百合子だった…

優しく微笑んでタマモを見た

「タマモちゃん もう大丈夫よ あなたの手配は解除されたわ」


百合子の言葉を横島達は驚いて聞いていた…

タマモはなんて言っていいかわからない…

「お袋… どういうことだ？」

横島は恐る恐る聞いた

「悪いと思ったけどあんたのこと調べたのよ。 ちゃんと卒業出きるか怪しかったからね… それでタマモちゃんの正体も知ったわ。 タマモちゃんは私と忠夫が保証人になったわ」

百合子は真剣な表情で話して一枚の書類を出した


その書類では妖狐タマモが横島親子の保護下に入ったと書いてあった…


横島は驚いて書類を見ていた

「どうやったんだ？ タマモは只の妖狐じゃない… 政府に狙われてるんだぞ？」

横島は険しい表情で百合子に聞いた

百合子は信用しない息子にため息をついた

「私こう見えても、政界に知り合いが多いのよ。 私とＧＳのあんたが保証人になることで政府は納得したわ… 金毛白面九尾は滅んだ… そしてタマモちゃんはただの妖狐よ」

百合子は微笑んで話した

「そんなこと出来るのか…？」

横島は唖然としていた

「政府もいつまでも危険が無い妖怪を狙うほど暇じゃないわ… タマモちゃんに断りなく進めてしまったけど、これで平和に暮らせるわよ」

百合子はタマモに笑顔で話した


一方タマモは…

あまりの事態になんと言っていいかわからなかった…


「迷惑だったかい？」

何も言わないタマモに百合子は困ったように聞いた


タマモはすぐに首を横に振った

「迷惑じゃない… すごく嬉しいの… でもいきなりだったから、なんて言っていいかわからなかった… 生まれてすぐに人間に殺されかけた… そして横島に助けてもらって今生きてる… 今度は横島のお母さんに助けてもらった… 本当に嬉しいの…」


タマモは涙を流していた


百合子はタマモを微笑み見ていた

そして泣いているタマモの頭を優しく撫でた…

「もう大丈夫よ… 私か忠夫の側で暮らすことになるけど、平穏に暮らせるわ」

そんな百合子を横島は驚いて見ていた

何故これほど手際がいいのか…


調べた…

どこまで調べたのか…

横島の頭の中は驚きと疑問に溢れていた