魔鈴は優しく微笑んで横島を見つめた

「今は秘密です…」

魔鈴の優しい微笑みに横島は不思議そうに首を傾げる


（私はあなたが好きなんです… だから… あなたとルシオラさんを助けたい…）

魔鈴は心の中で囁いた…

横島の話を聞いて、魔鈴はますます横島に惹かれていた

そして自然と抱きしめていた


（ルシオラさん… あなたが命をかけて救った彼を… 私は守りたい… 再びあなたが生まれ変わるまででもいいから…）

魔鈴は横島と共に生きるルシオラに心の中で話しかけた

魔鈴に答えは返ってこない

だが…


魔鈴の決意を喜ぶような綺麗な夕日が辺りを照らしていた


「でも… 迷惑じゃあ…」

横島は申し訳なさそうに話した

「迷惑ならこんなことしませんよ？」

魔鈴は抱きしめたままの状態で笑って話した


「えっ… いや…」

横島は顔を赤くして言葉が出ない


「今は考えなくていいです… 私はあなたの味方です。 それだけは信じて下さい」

魔鈴は困惑気味の横島に優しく話した
「魔鈴さん…」

横島の心に魔鈴の優しさが染み込んでいた…


そして、横島と魔鈴は沈みゆく夕日を二人見ていた

今は亡きルシオラを思いつつ…



それから日が暮れて辺りが夜景に変わった頃…

二人は揃って帰り道を歩いていた


「横島さん… 高校を卒業後どうするんですか？」

魔鈴は帰り道歩きながら聞いた

普通の高校生ならもう進路や就職先を探しているはずである

横島が卒業後も令子の事務所に居るのか知りたかったのだ

「卒業か… 正直迷ってます… 俺はＧＳになりたい訳じゃない… 今美神さんの事務所に居るのも、シロとタマモが居るからなんです。 卒業までには二人の今後を何とかして、俺はあそこを辞めたいんです。 その後は… わかりません…」

横島は静かに話した


魔鈴は横島の話を聞いて考えていた

「横島さん… 良かったら、シロちゃんとタマモちゃんと３人でウチに来ませんか？ それほど高い給料は払えませんが、今くらいならみんなに払えますよ？」

魔鈴は少し考えながら話した

横島は魔鈴の話に驚いて聞いていた

「いや… でも、何から何まで魔鈴さんに世話になる訳には…」

横島は申し訳なさそうに話した

「彼女達なら、レストランのウエイトレスから除霊まで出来ますし、私は歓迎しますよ」

魔鈴は笑顔で話した

「それはそうですが…」

横島は言葉に詰まった

魔鈴は常識的だし、オカルトにも詳しい…

シロとタマモと人間社会の架け橋にはうってつけの人物だった

だが、それは決していいことばかりではない…

タマモはお尋ね者だし、何か問題が起きる可能性もあった


「結論はいつでも構いません。 ただ、私は歓迎しますから、選択肢の一つに考えておいて下さい。 横島さんがいつまでも、無理をして美神さんの事務所に居るよりはいい方法のはずですから…」


魔鈴は優しく微笑んで話した

「魔鈴さん… ありがとうございます。 俺… 本当になんてお礼を言ったらいいか…」

横島は魔鈴の優しさに言葉が出なかった

「私は好きで協力してるんですよ まあ…、感謝してくれるなら… 私の店に来てくださいね？」

魔鈴の笑顔と言葉に横島は見とれていた

あの戦いから一年…

横島にとってその日はやはり特別な日になった…


そしてその日を境に、横島と魔鈴は変わり初めていた…

前はどこかよそよそしい感じがあったが、お互いに自然な感じになり初めていた…


横島はあの日以降、魔鈴の店で食事をとることが増えていた…

元々、カップ麺や弁当ばかりの食事から、ほぼ毎日夕食は魔鈴の店で食べていた

生活自体はあまり変わらない

深夜の修行も続けていたし、週一で天狗の元でも修行をしていた


だが、横島の精神状態はかなり安定していた

雪之丞やシロやタマモの存在

そして、心から打ち解けた魔鈴の存在が非常に大きかった…