魔鈴はボーっと横島の顔を見ていた…

そして胸の高鳴りが抑えられない

（この気持ちは…）

魔鈴は横島に対する自分の気持ちに、気がついてしまった…

（私は… 横島さんが好きなんですね…）


いつからだろう…

始めは彼の力になりたかっただけなのに…

いつの間にか、彼を求めていた…


「魔鈴さん！？」

魔鈴が横島に見とれて考えていると、不思議そうに横島が声をかけた

「あっ… いえ… ルシオラさんが何故横島さんを好きになったのか… わかった気がしたんです」

魔鈴は嬉しそうに微笑んだ

この数ヶ月一緒に居て魔鈴は知っていた

横島の底知れぬ優しさを…

そして温かさを…


「本当ですか！？ 俺は未だにわからないっすよ！？」

横島は驚いて話した

「うふふ… 今は秘密です！」

魔鈴は唇に人差し指を当てて言った


横島は一瞬ドキッとした


そして、横島は魔鈴に見とれながら、自分の想いを話し出した…

「魔鈴さん… 俺… わかんないんすよ… どうしたら、ルシオラの気持ちに答えてやれるのか… あいつは俺の為に命をかけて、助けてくれた… そして、俺の未来の為に、自分の復活を諦めた… 本当はあいつだって生きたかったはずなのに… まだ、生まれたばかりで… 何も経験してないのに…」

横島の瞳はいつの間にか、暗く悲しみに満ちた瞳になっていた…

「横島さん…」

魔鈴はあの日の瞳を思い出していた

魔族から助けてもらった日の瞳を…

あの瞳はやはり本当だった

今改めてそれを感じていた…


「俺はもう… 何が正しいのか… 誰が味方かわからないんです。 隊長は未来を知っててもルシオラを犠牲にした… 自分は美神さんの為に何度も時間移動して、好き勝手に歴史を変えたくせに… 全てが終わったら笑顔で現れた…」

横島の瞳は悲しみから狂気にも似た憎しみが見えていた


魔鈴は静かに横島を見つめていた

やはり…

危ないところだった…

彼は壊れる寸前なのだ…

後悔…

悲しみ…

憎しみ…

様々な感情が横島の中に溜まり、爆発する寸前のような感覚を感じた…


「隊長は俺を人類の裏切り者として、捨て駒にしてルシオラ達と一緒に殺そうとした… 一方、ルシオラ達やドグラは優しかった… 敵であり、人の俺にも… 俺はあの時… 選ぶのを間違えたのかもしれない… そう思う時もあります。」

横島は疲れたような瞳で魔鈴に微笑んだ

コロコロと感情が変わる横島

普段抑えていた感情が溢れ出したかのように…


魔鈴は静かに微笑み聞いている


「今でも、夢に見るんです… あの日のことを… そして、選ばなかった未来を… 今も、美神さんや隊長を見るたびに、憎しみが自分の中に増していくんです… あの時、本当は世界の犠牲になるのはルシオラじゃなく… 美神さんのはずだったんすから…」

横島はずっと抱えてきた想いを、いつの間にか話していた…


魔鈴はゆっくり横島に近寄った…

そして、優しく横島を抱きしめた

「魔鈴さん！？」

横島は驚いて魔鈴に話しかけた

「横島さんはよく頑張りました。 ルシオラさんもわかってますよ…」

魔鈴は優しく語りかけて、横島の頭をゆっくり撫でた


横島は魔鈴の優しさと温もりに言葉が出なかった…

そして、自分でも気づかぬうちに涙を流していた…


この一年、ずっと流さなかった涙を…


魔鈴は横島から流れる熱い涙を感じて、静かに抱きしめた


「私は横島さんとルシオラさんの味方です。 横島さんの答えが見つかるまで、一緒にいます。」


魔鈴は横島に優しく元気づけるように話した

「……何故…… 俺にそこまでしてくれるんです？」

横島はずっと不思議だった疑問を魔鈴に話した