新しき絆

その日

横島は街を歩いていた…

手には花と水と砂糖の入った袋を持っていた


テレビでは一年前の特集を組んで、特別番組を朝から放送していた


都内某所では、その時の慰霊祭も行われていた…


政府関係者や被害者家族…

それにオカルトGメンや、GS関係者も多数参加していた


中心に居るのは

美神美智恵と

美神令子


彼女達は英雄のような扱いを受けて注目を集めていた…


当時共に戦った仲間達も集まっていたが…

その中に横島、魔鈴、雪之丞、ドクターカオス、マリアなど…

姿が見えない人も多かった…


横島の場合は令子に誘われなかっただけだが…


魔鈴と雪之丞は、とても参加する気分では無かったのだ…

彼らはこの一年の横島の苦しみを理解している数少ないメンバーなのだから…


とても美神親子が英雄として扱われている場所に行く気は無かった…


一方ドクターカオスとマリアは興味が無かっただけだが…



慰霊祭の式場では、美神親子が話をしていた…


「令子、横島君を呼ばなかったの?」

美智恵は姿が見えない横島を気にしていた

「呼ばなかったわよ。 仕事でも無いのに時給払いたくないわ」

相変わらずな令子は当たり前のように話した


「あなたね… 彼はここに来なければならない人よ。 本来彼がアシュタロスを倒したんだから…」

美智恵は呆れて話した

「でも、あんな奴呼んでも騒ぐだけよ? 相変わらず馬鹿でスケベなんだから…」

令子は迷惑そうに話した

「彼が今日この場所でも、そうだと思うの? 彼が恋人を失って一年なのよ…」

美智恵はどうしようもない令子に呆れつつ話した

「でも、もう元気よ? あの時の事思い出してもないみたいだし」

令子は美智恵の言葉を否定するように話した

「最近はほとんど仕事してないんでしょ? 彼はどうやって生活してるのかしら…?」

美智恵は不思議そうに話した

横島の生活状況を考えれば、食事にも苦労するはずだった


「知らないわよ。 私には関係ないわ」

令子は冷たく言い放った


美智恵はどうしようもない娘に呆れていた… 令子も美智恵も何一つ気がついていないようだ……



その頃横島は…


東京タワーの上に到着していた…

「ここに来るのも一年ぶりか…」

横島はかつてルシオラが、最後に座っていた場所の隣に座った

「たいしたもんじゃないけど… 花とお前の好きなもん買ってきたよ…」

横島は優しく微笑んでいた

そして、隣に花を置いて、砂糖を水に入れてそれも置いた


「ずっと来れなくてごめんな… ここだけは来れなかった…」

横島は空を見上げて話していた


「あの時… お前はどんな気持ちだったんだろうな… 俺… 最近思うんだ… 本当は誰より生きたかったんだろ…? だってお前は何も知らないじゃないか… 生まれて一年もたってなかったんだろ…」


横島は一人話し続ける…



その頃…

魔鈴は東京タワーの近くを歩いていた


彼女も手には花を持っていて…

魔鈴は東京タワーに着くと、ほうきで上に飛び始めた


魔鈴が特別展望台の上に着くと…

横島が居た…

魔鈴と横島は目があってしまった… 
「魔鈴さん!? どうして此処に?」

横島は驚いて魔鈴に聞いた

魔鈴は済まなそうな顔になった

横島の邪魔をするつもりは無かったのだ…


「ごめんなさい… 今日はあれから一年なので…」

魔鈴は横島に謝った

横島が魔鈴を見ると、手には花があった…


(魔鈴さん…)

横島は魔鈴がルシオラの為に来たのを理解した


「良かったら座って下さいよ。 ルシオラも喜んでますよ」

横島は魔鈴に微笑んで話した

「お邪魔なら帰りますよ」

魔鈴は遠慮がちに話した

「せっかく来たんですから、もう少し居て下さい… もうすぐあいつが好きな夕方ですから」

横島が進めるまま、魔鈴は横島の隣に座った


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