新しき絆

「タマモちゃん、困った時はいつでも来てね。」

魔鈴は優しくタマモに話した

タマモはそんな横島と魔鈴を不思議そうに見ていた

「私は金毛白面九尾の妖狐なのよ… 私を匿えば、あなたもただでは済まないわよ」

タマモは少しつらそうな表情で魔鈴に話した

「私は魔女です。 魔女は古来より、国や人々から迫害されてきました。 私はタマモちゃんが、国や人々に理不尽に迫害されるなら守ってあげますよ」


魔鈴は優しいが力強い言葉でタマモに語りかけた


「あ… ありがとう」

タマモは言葉が出なかった

まさか自分を守ってくれる人間が横島意外に居るとは思わなかった…


嬉しいような…

信じられないような…

気持ちで言葉に出来なかった


横島はそんな魔鈴とタマモの様子を嬉しそうに見ていた


タマモが人間社会で生きていくには、本当の協力者が必要だ…


令子のように利用するのではなく、タマモの将来を考えて常識的な人が必要だった


それには魔鈴が理想的な人物だった

魔鈴を通して人間社会に慣れて、人間と共存出来たらいいと…

横島は密かに望んでいた



その日を境にタマモは横島だけでなく、魔鈴の店にも顔を出すようになった


事務所の除霊も最低限しか手伝わないタマモは、比較的暇な日が多かったのだ


金欲にまみれた令子より、魔鈴の方がタマモは信用出来た


そして、魔鈴とタマモは予想以上に仲良くなっていくことになる……




それからしばらくしたある日…


横島は学校で授業を受けていた


ドダドダドダドダ…


外から物凄いスピードで何かがやって来た…


「何か来たわよ?」

愛子は驚き窓から外を見た


ドダドダ…


その間にその何かは横島の教室に突入してきた


「先生ー!! 大変でござる! 女狐が… タマモが…」


現れたのはシロだった…

シロは慌てて横島を連れて行こうとする…

「シロ、何が大変なんだ? タマモがどうした?」

横島はシロの話は意味がわからなかったが、大変なのと

タマモの名前は聞き取れた


「タマモの様子が変なんでござる!」

シロの言葉に横島の顔色が変わる…


「愛子、悪い… 早退するわ」

横島は愛子に一言話して、シロと走り出した


シロの猛スピードに横島は必死についていった


二人は学校から事務所まで走って行った…


事務所に入って横島は、シロとタマモの部屋である屋根裏部屋へ行った


そこではタマモが苦しそうに寝込んでいた…


「タマモ!? どうした? 体調が悪いのか!?」


横島は驚いてタマモに話しかけた


「横島… 私は大丈夫……」


タマモはそう話すがかなり体調が悪そうだ

横島はタマモの熱を計るが…

かなり高熱だった…


横島はすぐに文珠【治】をタマモに使うが効果が無い…


「先生…」

シロも心配そうにタマモを見つめる


「シロ、人狼は病気になればどうするんだ?」


文珠が効かない以上横島に手段は残されて無かった…


「人狼の里では、ヒーリングが効かない病気は、天狗殿の薬を飲ませるでござるが…」

シロは困ったように話す


「わかった。 とりあえず、天狗の薬をもらいに行こう!」

横島はすぐにでも向かいたいんだが…


事務所にはシロ以外誰もいなかった


「シロ、美神さん達はどうした!?」

横島はシロに聞いた


「美神殿とおキヌ殿は除霊でござる… 夜まで帰って来ないでござる…」


シロは顔をしかめて話した


横島は必死に考えた


天狗の場所はシロしか知らない

だが、シロ一人で行かせる訳にはいかない…


横島は苦しそうなタマモをどうするか悩んでいた…


「シロ! タマモを預けて天狗の元へ向かうぞ!」

横島は決心した


タマモを抱えて、走り出した

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