新しき絆

その日からタマモの態度が微妙に変わっていた

前のように、横島を嫌うことが無くなっていた


令子達の前で特別懐くわけではないが、前より柔らかい対応になった


タマモの微妙な変化を令子は気がついていたが、特に問題にするレベルではないため放置していた…


一方横島は…


予期せぬタイミングだったが、タマモと話せて安心していた…

これで万が一の時は、タマモは自分の言葉を信じてくれるだろう


嫌われるのは慣れていた横島だが、タマモを助けるにも信頼が無いのが一番の悩みだったのだ…


いざとなった時、信頼が無いと助けたくても助けれない

その一番の悩みが解決して、ホッとしていた



そして、タマモはたまに横島のアパートに遊びに来たりして、横島に心を開き初めていた



そして数日後

その日、タマモは横島のアパートに居た

「お前も最近良く来るな~ 俺のアパートに来てもつまらないだろ?」

横島は不思議そうにタマモに聞いた

「楽しいわよ。 妖狐の私を騙したあなたの本心を探るのはね」

タマモは怪しい笑みを浮かべて話した

「アハハ… 騙すだなんて人聞きの悪いな~ 俺はどっちかと言うとお前の味方だぞ?」

横島は少し困ったように笑っていた

「味方なのはわかってるわよ 私は知りたいの… あなたの瞳の奥にあるものが何か……」

タマモは優しく微笑んだ


「タマモ……」


横島はそれ以上言葉が出なかった


「私わかるのよ… あなたが何か大きなモノを抱え込んでるのが… これでも金毛白面九尾なんだからね」

タマモは優しく横島に話した


「俺は……」

横島が何か言おうとしたが…

「別に今話さなくていいわ。 横島が私の味方なように、私は横島の味方よ。 それだけ……」

タマモは横島の言葉を遮って話した


横島はタマモに笑顔で返すしか出来なかった



タマモは最近良く横島の側にいて、気がついていた

横島の優しさの裏に何かあるのを…



そんな時、電話が鳴る


「はい… もしもし… あっ… はい… わかりました」

横島は電話を切るとタマモを見た

「タマモ、夕飯どうするんだ?」


タマモは横島のアパートに来る時は、たまにご飯を食べて帰っていた


まあ、カップうどんといなり寿司とか簡単な物だが

横島は魔鈴と除霊をしてから食費に困ってないため

タマモにご飯を食べさせていた


お金はあっても貧乏性な為、カップ麺や弁当ばかりだが…


タマモは少し考えて答える

「軽く食べて行こうかな… 今日はおキヌちゃん遅いから、出前頼むって言ってたし…」

「そっか。 じゃあ魔鈴さんの店に行くか? 今日誘われたんだが…」

横島が聞くとタマモは不思議そうに横島を見た

「横島、魔鈴さんと仲いいの?」


タマモは知らなかったのだ

現在の横島を助けてるのが魔鈴だということを……

「あー お前知らないんだったな… 少し前から魔鈴さんには世話になってるんだ。 たまに仕事回してくれたり、ご飯を食べさせてくれたりな…」

横島は少し考えたが、タマモと魔鈴を会わせてもいいと思った


タマモは秘密を喋るタイプではないし、

魔鈴ならタマモの味方になってくれるたろう…


「そうなんだ… そうよね… 美神の給料だけじゃご飯も満足に食べられないもんね…」

タマモは思い出したように話した


前からおキヌが、横島の食生活を心配していたのを思い出したのだ

その時も令子が

「横島なら死なないわよ」

そう笑って話して終わっていたのだ


「タマモ… これも美神さんには秘密にな…」

「わかってるわよ。 美神にバレたら大変だもんね」

タマモは苦笑いしていた


令子は未だに横島を自分の物のように扱っていたのだから


影で横島が魔鈴と仲良くしてるなんて知ったら、怒り狂うだろう


「タマモ… もし俺が居ない時に、人間に追われたりして困ったら、魔鈴さんを頼れ… 魔鈴さんには俺から頼んでおくから」

横島は真剣な表情になり、タマモに話した

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