魔鈴は横島を立たせて、改めてお礼を言った

「本当にありがとうございました。 依頼書では普通の除霊だったんですが… 魔族が住んでいたみたいです。 お互い見てしまった以上戦闘になってしまって…」


魔鈴はため息をつきながら横島に話した

「魔鈴さんがいくら優秀なＧＳでも、一人だと危険っすよ？ とりあえず、今日は送って行きますよ」

横島は魔鈴にお礼を言われて照れながら話した


そして横島と魔鈴は帰り道を並んで歩きながら話していく…

「一人だと危険なのはわかってるんですけどね… 私は魔女ですから… 普通のＧＳはあまり近寄りませんから…」

魔鈴は少し寂しそうに話した


現代で唯一の魔女

魔鈴の元には相談や物珍しさでは人は来るが、ＧＳ関係者は敬遠していた

魔鈴と仲がいいのは、西条くらいだった

良くも悪くも魔女の魔鈴は目立って敬遠されていた

ＧＳ関係者でさえ、気味悪がり近寄らない人もいたのだ


横島は不思議そうに聞いていた

「そうなんすか？ 魔鈴さん美人なのに！」

横島は美人と言う言葉に力を込めて話した

「うふふ… 本心でそう言ってくれるのは横島さんだけですよ」

魔鈴は嬉しそうに微笑んだ

「魔鈴さんを美人じゃないと言う男は目が腐ってますよ。」

横島は魔鈴の手を握り力一杯言った


魔鈴は少し困った顔になり、横島の手を離して話をする

「私は魔女ですから… 本当に素顔かどうかも疑いますし、気味悪がりますから…」

魔鈴は寂しそうに話した

「じゃあ、困ったら呼んで下さいよ。 俺が魔鈴さんの助手をしますから… あっ… でも美神さんには内緒でね。 バレたら、俺が殺されますから。」

横島は笑顔で魔鈴に話した

「ありがとうございます。 横島さん でも、本気にしますよ？」

魔鈴は妖艶な笑みを浮かべて話した

「アハハッ いいっすよ。 暇な時ならいつでも手伝います。」

横島は当たり前のように笑いながら言った


そんな話をしているうちに魔鈴の店についた

「今日は本当にありがとうございました。 お礼をしたいので、今度ご飯を食べにいらして下さいね」

魔鈴は笑顔で横島に頭を下げた　
「ご飯っすか！ それは楽しみっすね～ 魔鈴さんの料理はうまいっすからね～ あっ… そうだ、これを持ってて下さい。」


横島は思い出したように文珠を３つ出した

そして魔鈴の手に渡した

「えっ！！ これは文珠じゃないですか！？ こんな貴重な物頂けません。」

魔鈴は慌てて横島に返そうとする

だが横島は苦笑いして受け取らない

「今日の魔族も、また来ないとは限りません。 魔鈴さんがまた襲われたら大変っすから… 文珠だけでは倒せないかもしれませんが、逃げるなり、助けを呼ぶのは出来ます。 だから持ってて下さい」


横島は笑顔で魔鈴を説得する

「しかし… 助けてもらった上、文珠まで貰うのは…」

魔鈴も困ったように話す

「気にしないで下さい。 どうせ美神さんにとられるだけっすから… お礼なら今度一回ご飯をご馳走してくれれば十分ですから… でも、美神さんには絶対内緒で…」

横島は苦笑いのまま魔鈴を説得する

そしてもう一度美神に言わないように念を押す

「わかりました。 ではしばらくお借りしますね。使わなかったらお返しします。」


魔鈴は横島の熱意に負けて文珠を受け取った

「じゃあ、俺は帰りますね。 何かあれば電話して下さいね」

横島は魔鈴にアパートの電話番号を渡して笑顔で帰っていった…


魔鈴は異界の家に帰って、ボーっと今日の事を考え込んでいた


嵐のような夢のような出来事だった…

強く悲しみに満ちた、魔鈴の知らない横島がいた

だがいつの間にか、普通の横島に戻っていた

あれは夢だったのか…？

いや、魔族と戦ったのも横島が助けたのも本当だ…

結局誤魔化された気がした魔鈴だった

「横島さん… あの時のあなたはいったい……」

魔鈴は一人呟いた


まるで別人のような２つの顔を持つ横島

だが、その優しさは同じのような気がした…


今日の出来事で横島の謎は
魔鈴の心に深く残ることになる


一方横島は…

帰り道に一人呟いていた…

「危なかった… 魔鈴さん、かなり驚いていたな… 魔鈴さんにもバレる訳にはいかない。 俺は馬鹿でスケベでお調子者の横島なのだから…」