GS魔鈴 新しき絆・番外編ピートの決断
(眠れる獅子にはずっと寝ていて欲しいのよね~)
目の前で苦悩する唐巣を冷静に見つつ、冥菜はその言葉を飲み込む
アシュタロス戦の本当の英雄にして、人間では最高クラスの能力である文珠使い
神魔族との交流もあり、人を引き付ける魅力もある
そんな横島が本気になればどう化けるのか、冥菜にも想像がつかなかった
(まさか、百合子ちゃんの息子だとはね~)
それに加えて冥菜が横島から手を引いた理由は、百合子にもあった
村枝の紅ユリと言われ一時代を築いた百合子の存在は、半ば都市伝説のように現在も語り継がれている
もし横島がその才能を引き継いでいるとしたら……
横島は現状のGS業界に収まる器で無いかもしれない
(平時に英雄は要らないのよ~。 唐巣君)
六道家の手に余る可能性のある横島を、わざわさ本気にさせる必要は冥菜には無かった
昔のように誰かに従って働くだけなら欲しいが、自らが何かを望めばおそらく横島は手におえなくなる
そう……、全くの第三者で横島を最も評価しているのは間違いなく冥菜だった
結局、唐巣は事情を聞くだけで帰るしか出来なかった
六道家ならここまで関係が破綻する前に和解へ導けただろうと思うが、それは自身も同じなのだ
こんな結果にしてしまった責任をどうとればいいのか、唐巣にもわからなかったのである
「先生……」
事情を説明し終えたあと再び神に祈り始めた唐巣に、ピートはかける言葉が無かった
まさか自分が少し前に知っていて放置していたとは、言えなかったのである
例えそれが横島の頼みであっても、唐巣は本気でこの結末を後悔しているのだから
(僕は間違ってたんだろうか……)
悩み祈る唐巣の姿を見ていると、ピートは何もしなかった自分が正しいのか間違っていたのかわからなくなっていた
実際にはあまり関わった事の無い横島の事で、唐巣がこれほどショックを受けるとは思わなかったのである
その後、唐巣とピートは全く会話することは無く一日を終える
そして予想以上にショックを受けている唐巣の姿に、ピートは改めて横島の存在の大きさを再認識することになった
それから二日後の夕方、教会にはエミが訪れていた
いろいろ理由を付けてはたまにピートに会いに来ていたエミだが、この日は微妙に表情が違っている
「横島が令子の事務所とGSを辞めたって聞いたけど、どんな様子なの?」
滅多に他人の事など聞かないエミが、その日は何故か横島の話していた
特に興味がある様子では無いし、愛子やタイガーなど横島を知る者はみんな多かれ少なかれ複雑な思いを抱えているだけに違和感は無いが、エミまでもが横島を気にするのは少し意外である
「本人が一番気持ちの整理がついてるかもしれません」
「そう……」
ピートとエミが横島の事を話したのはそれだけだった
微妙に複雑そうな表情のエミだったが、次の瞬間にはいつものようにピートに絡んでいる
そんなエミの姿にピートは苦笑いを浮かべており、先程の話の印象は薄れていく
しかしこの時すでにエミの何かが変わっていた事にピートが気付くのは、卒業パーティーの後である
目の前で苦悩する唐巣を冷静に見つつ、冥菜はその言葉を飲み込む
アシュタロス戦の本当の英雄にして、人間では最高クラスの能力である文珠使い
神魔族との交流もあり、人を引き付ける魅力もある
そんな横島が本気になればどう化けるのか、冥菜にも想像がつかなかった
(まさか、百合子ちゃんの息子だとはね~)
それに加えて冥菜が横島から手を引いた理由は、百合子にもあった
村枝の紅ユリと言われ一時代を築いた百合子の存在は、半ば都市伝説のように現在も語り継がれている
もし横島がその才能を引き継いでいるとしたら……
横島は現状のGS業界に収まる器で無いかもしれない
(平時に英雄は要らないのよ~。 唐巣君)
六道家の手に余る可能性のある横島を、わざわさ本気にさせる必要は冥菜には無かった
昔のように誰かに従って働くだけなら欲しいが、自らが何かを望めばおそらく横島は手におえなくなる
そう……、全くの第三者で横島を最も評価しているのは間違いなく冥菜だった
結局、唐巣は事情を聞くだけで帰るしか出来なかった
六道家ならここまで関係が破綻する前に和解へ導けただろうと思うが、それは自身も同じなのだ
こんな結果にしてしまった責任をどうとればいいのか、唐巣にもわからなかったのである
「先生……」
事情を説明し終えたあと再び神に祈り始めた唐巣に、ピートはかける言葉が無かった
まさか自分が少し前に知っていて放置していたとは、言えなかったのである
例えそれが横島の頼みであっても、唐巣は本気でこの結末を後悔しているのだから
(僕は間違ってたんだろうか……)
悩み祈る唐巣の姿を見ていると、ピートは何もしなかった自分が正しいのか間違っていたのかわからなくなっていた
実際にはあまり関わった事の無い横島の事で、唐巣がこれほどショックを受けるとは思わなかったのである
その後、唐巣とピートは全く会話することは無く一日を終える
そして予想以上にショックを受けている唐巣の姿に、ピートは改めて横島の存在の大きさを再認識することになった
それから二日後の夕方、教会にはエミが訪れていた
いろいろ理由を付けてはたまにピートに会いに来ていたエミだが、この日は微妙に表情が違っている
「横島が令子の事務所とGSを辞めたって聞いたけど、どんな様子なの?」
滅多に他人の事など聞かないエミが、その日は何故か横島の話していた
特に興味がある様子では無いし、愛子やタイガーなど横島を知る者はみんな多かれ少なかれ複雑な思いを抱えているだけに違和感は無いが、エミまでもが横島を気にするのは少し意外である
「本人が一番気持ちの整理がついてるかもしれません」
「そう……」
ピートとエミが横島の事を話したのはそれだけだった
微妙に複雑そうな表情のエミだったが、次の瞬間にはいつものようにピートに絡んでいる
そんなエミの姿にピートは苦笑いを浮かべており、先程の話の印象は薄れていく
しかしこの時すでにエミの何かが変わっていた事にピートが気付くのは、卒業パーティーの後である