GS魔鈴 新しき絆・番外編愛子の日記
「愛子ちゃん、また明日ね!」
夕暮れ時の教室……
一人また一人とクラスメートが帰るのを愛子は笑顔で見送っていた
横島達が卒業した後も愛子は新しい三年達と一緒に青春を満喫していたが、何か物足りなさを感じてしまう
「愛子ちゃん、日記つけてるの?」
「うん、いろんな事を形として残したくて……」
クラスメートの一人が忘れ物を取りに戻ると、日記を書く愛子を見つけて驚いたように声をかける
特に日記が珍しい訳ではないが、日記を書く愛子の表情がいつもと違って少し寂しそうだったから
「卒業した横島先輩のこと、忘れられないの?」
その言葉に愛子は驚きの表情で固まるが、噂好きな人達は割と知っている事らしい
「わかんない。 ただ同じ教室に居ないのは寂しいと思う。 私は横島君に会わなかったら、きっとこんな幸せはなかったから……」
「楽しい先輩だったもんね~ 私の友達にも横島先輩に差し入れしたくて、ピート先輩に差し入れしてる子が居たわ。 どこかほっとけない母性本能くすぐる先輩だったのよね~」
僅か数ヶ月前を懐かしむ愛子の表情に、クラスメートは同意するように笑みを見せる
良くも悪くも注目を集めていた横島の他人から見た評価は、真っ二つに別れている
いいか悪いか……
そんな中でピートに差し入れする事で間接的に横島に差し入れする事が下級生で流行ったのは、横島が全く知らない事実である
「告白すれば付き合えたんじゃないの?」
「ううん、横島君は少し前に悲しい別れを経験してるの。 回りに悟られないように振る舞ってたけど、それは辛そうだったわ。 私はそんな横島君の悲しみを癒して、過去と未来を受け止める勇気がなかった」
核心部分を隠しつつ愛子は横島の僅かな変化をクラスメートに語っていく
始めは些細な変化だった
以前と変わらない横島なのに何か違和感がある
楽しそうなのに何かひっかかる
言葉として表せないような僅かな違和感を当時感じていたのは、愛子とタマモのみでだった
「そんな話は初耳よ?」
「誰にだって言えない過去はあるわ。 裏表ない横島君だからこそ、言えない事もあるものよ。 歴史からはやがて横島君の存在など消えてしまうだろうけど、私だけは彼の心を忘れないでいたいの」
そんな些細な歴史を忘れないようにしたいから日記を付けてると言う愛子に、クラスメートは感慨深いものを感じる
しかし……この時の愛子は気付かなかった
やがて横島の存在は消そうとしても消えないほど世界に広がってしまう事を……
そして愛子自身の運命をも巻き込むほど、大きな存在である事を……
それは横島が去った高校の、春の夕方のことだった
再び一人になった教室で愛子は静かに日記帳を開き、今日という一日を形に残していく
夕暮れ時の教室……
一人また一人とクラスメートが帰るのを愛子は笑顔で見送っていた
横島達が卒業した後も愛子は新しい三年達と一緒に青春を満喫していたが、何か物足りなさを感じてしまう
「愛子ちゃん、日記つけてるの?」
「うん、いろんな事を形として残したくて……」
クラスメートの一人が忘れ物を取りに戻ると、日記を書く愛子を見つけて驚いたように声をかける
特に日記が珍しい訳ではないが、日記を書く愛子の表情がいつもと違って少し寂しそうだったから
「卒業した横島先輩のこと、忘れられないの?」
その言葉に愛子は驚きの表情で固まるが、噂好きな人達は割と知っている事らしい
「わかんない。 ただ同じ教室に居ないのは寂しいと思う。 私は横島君に会わなかったら、きっとこんな幸せはなかったから……」
「楽しい先輩だったもんね~ 私の友達にも横島先輩に差し入れしたくて、ピート先輩に差し入れしてる子が居たわ。 どこかほっとけない母性本能くすぐる先輩だったのよね~」
僅か数ヶ月前を懐かしむ愛子の表情に、クラスメートは同意するように笑みを見せる
良くも悪くも注目を集めていた横島の他人から見た評価は、真っ二つに別れている
いいか悪いか……
そんな中でピートに差し入れする事で間接的に横島に差し入れする事が下級生で流行ったのは、横島が全く知らない事実である
「告白すれば付き合えたんじゃないの?」
「ううん、横島君は少し前に悲しい別れを経験してるの。 回りに悟られないように振る舞ってたけど、それは辛そうだったわ。 私はそんな横島君の悲しみを癒して、過去と未来を受け止める勇気がなかった」
核心部分を隠しつつ愛子は横島の僅かな変化をクラスメートに語っていく
始めは些細な変化だった
以前と変わらない横島なのに何か違和感がある
楽しそうなのに何かひっかかる
言葉として表せないような僅かな違和感を当時感じていたのは、愛子とタマモのみでだった
「そんな話は初耳よ?」
「誰にだって言えない過去はあるわ。 裏表ない横島君だからこそ、言えない事もあるものよ。 歴史からはやがて横島君の存在など消えてしまうだろうけど、私だけは彼の心を忘れないでいたいの」
そんな些細な歴史を忘れないようにしたいから日記を付けてると言う愛子に、クラスメートは感慨深いものを感じる
しかし……この時の愛子は気付かなかった
やがて横島の存在は消そうとしても消えないほど世界に広がってしまう事を……
そして愛子自身の運命をも巻き込むほど、大きな存在である事を……
それは横島が去った高校の、春の夕方のことだった
再び一人になった教室で愛子は静かに日記帳を開き、今日という一日を形に残していく