新しき絆・2

店に移動した横島達だが、ひとまず魔鈴1人で令子に会うことにした


ドンドン!!

ドンドン!!


「魔鈴! 早く出てきなさいっ!!」

魔鈴が現れるまでの僅かな時間も待てないのか、令子は店のドアを叩き叫んでいる


「店の前で騒ぐのは止めて下さい。 ご近所の方に迷惑がかかります」

表の鍵を開けると、令子はドアを壊さんとばかりの勢いで中にズカズカと入り込む


「あんた! よくも私に隠れてコソコソと人の物に手を出したわね!」

怒りで令子の体からは霊力が溢れ出ており、今にも魔鈴を八つ裂きにしてやろうと言う表情が見え見えである


「物? 何のことですか? 私は美神さんと会うのはあの戦い以来ですよ」

物が何を意味するか魔鈴も良く理解していた

何様のつもりなんだろう

魔鈴は心の底から湧き上がる怒りを抑えて笑顔を作っていた


「あくまでシラを切るつもりね… あんたがうちの横島を誑かしたのはわかってるのよ!!」

殺気のこもった霊力が叩きつけられるが、魔鈴は無反応で涼しげな笑顔を向けたまま変わらない


「美神さん。 ご自分で言っている意味理解してますか? 横島さんは物ではなく人ですよ? そもそも、横島さんの私生活は美神さんに関係無いんじゃないですか?」

笑顔のまま語っていく魔鈴だが、うっすらと霊力が溢れ出していた


「このアマ……」

元々、令子は魔鈴が嫌いなのだ

その魔鈴にここまで言われると、最早我慢は出来なかった

ただでさえ最近は横島と言うブレーキやクッションが無くなり、常時ストレスを溜め込んでいる

しかも今日は令子が一番固執している横島の事が関わっている為、最後の理性までも切れてしまう


ブチッ!


その瞬間、令子は我を忘れて神通混で魔鈴に攻撃を加えてしまう


(マズい!)

とっさに横島とシロが飛び出して、助けに入ろうとするが間に合わない

タマモも狐火で牽制をしようとするが…


バチバチ…!!


その前に令子の神通棍は、魔鈴の持つ神通棍によって止められていた


「なっ!? なんであんたが神通棍を持ってるのよ!!」

令子は驚きで正気に戻り魔鈴から離れる

魔鈴が神通棍を持っていることも、あの一瞬で令子の一撃を防いだのもこれ以上無いくらいの驚きであった


しかし、それは横島達も同様である

令子と同じように横島達も驚きに満ちた表情をしていた


「おかしいですか? 私は魔女ですが、GSでもあります。 武器を持ち戦う力があっても当然だと思いますが…?」

神通棍を正面で構え令子を警戒する魔鈴

だが、令子はそんな言葉で納得などするはずはない


「そんなことはわかってるわ!! 問題なのは、なんであんたが私の一撃を止めれるのよ!」

少し冷静になった令子は考えていた

普通のGSが使う最もポピュラーな武器が神通棍である

ある意味誰でも使える反面、最もGS本人の実力に影響される武器であった


怒りで我を忘れた単調な攻撃だったとはいえ、直接戦う力の無いと思っていた魔鈴に止められたのは屈辱である


「私だって日々努力して成長しています。 かつて弱点だった接近戦での戦いを克服する為に、努力を重ねて来ました。 美神さんに勝つのは難しくても、一撃くらいは防げます!」

魔鈴の強い決意のこもった言葉を、令子は信じられないような驚きで見つめていた
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