新しき絆・2

「ちっ! 横島のヤツ何処に行ったのよ」

イライラしながらアパートのドアを睨む令子を、小鳩は不思議そうに見ていた


「何かあったんですか?」

「何でも無いわ。 もし横島クンが帰って来たら事務所に来るように言って頂戴」

小鳩に理由を聞かれるが、説明せずにアパートを後にしようとする令子

あまり人に話したくないようだ


「そう言えば、最近魔鈴さんが良く来てますよ? もしかしたら知ってるかも…」

思い出したようにボソッとつぶやく小鳩の言葉に、その場を去ろうとした令子は止まる


「今何て言ったの?」

嫌な名前を聞いた令子は不機嫌そうに振り向く


「えっと… 魔鈴さんがたまに来てますので、魔鈴さんなら横島さんの事知ってるのでは無いかと思ったんですが…」

小鳩は親切心から知っている事を教えたのに、何故令子が不機嫌そうに睨むのか理解出来ない


「魔鈴って、魔女の格好したヤツ?」

体が怒りで微かに震え、まるで般若のように怒りの表情を浮かべる令子に、小鳩と貧は引き気味に怯えながら頷く


「なんで、魔鈴が横島クンのアパートに来てるの…?」

令子は地獄の底から出したような怒りの声で、小鳩に問いかける


「さあ… 私も良く知りませんが、夕食の差し入れやお部屋のお掃除を手伝ってるみたいですよ。 楽しそうな声が聞こえてましたし…」

小鳩自身、ずっと横島と魔鈴の関係は気になっていたが聞けないでいた

たまに魔鈴と顔を合わせても挨拶程度だし、横島との関係を聞き出すほど会話をしてないのだ


そうしている間に横島と魔鈴は仲良くなってしまい、最近では2人が特別な関係なのに小鳩は薄々感づいている


「そう… そう言うことね… あのくそ女! コソコソ隠れて人の丁稚を誑し込んだのね!!」

あからさまに殺気と怒気を全開にした令子は、小鳩と貧を無視してその場を立ち去ってしまう


「ねえ、貧ちゃん。 私いけないこと言ったのかな?」

あまりの殺気と怒気に小鳩は震えながら貧を見る


「どうやら、相当仲が悪いようやな~ 魔鈴ちゅう女は優しくていい奴やからな。 気に入らんのやろ」

魔鈴に対してあからさまに敵意を剥き出しの令子には、貧ですら冷や汗を流していた
 
 
「横島さん大丈夫かしら。 悪いことしちゃったな…」

「小鳩、美神令子にだけは関わったらあかん。 今日の事は忘れろ」

横島を心配する小鳩に対して、貧はこれ以上関わらせたくないようでキツい表情で忘れるように言い聞かせる


「貧ちゃん?」

「小鳩、因果応報ちゅう言葉知っとるやろ? 幸運や不運は自分の行動なんかが影響するんや。 ああいう奴は幸せになれん。 関わった者を不幸にするもんや」

不思議そうに首を傾げる小鳩に、貧は真剣な表情で理由を説明していく


「じゃあ、横島さんは…?」

「それはわいにはどうしょうも無いな… 一番いいんは美神令子と離れることなんやが…」

小鳩と貧は横島を心配しながらも、自分達にはどうしようもなかった



そしてアパートを離れた令子は、魔鈴の店に向かって車を飛ばしていた


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