新しき絆・2

西条の車に乗り事務所へ戻る令子達

助手席に美智恵が座り、後部座席に令子とおキヌが座ったが…


「おキヌちゃん、大丈夫? 横島のせいで精神的に疲れたでしょ」

顔を真っ青にしてうつむいているおキヌを見て、令子は飛行機での出来事で精神的に疲れたのかと思う

自分に逆らうことの無いおキヌが脱出しなかったのは、横島のせいだと決めつけていた


「はい… 大丈夫です。 心配かけてすいません」

心配かけないように笑顔を作って令子に微笑むおキヌ

しかし、その表情は逆に痛々しく見える


「ったく… 横島のやつおキヌちゃんまで危険にさらして…」

この場に居ない横島に怒りとストレスを溜め込む令子


「………」

おキヌはその言葉に僅かにつらそうな表情をするが、再びうつむいてしまう


頭の中にはあの時の、横島と仲睦まじい魔鈴の姿で溢れている

考えたくないのに

思い出したくないのに

頭から離れない



美智恵はミラー越しに、そんなおキヌの様子を心配そうに見つめていた

(何かあったのかしら…? さっき別れる前より随分落ち込んでるわね)


おキヌに声をかけたい美智恵だが、原因はどう考えても横島だろう

令子が居る場所では聞きにくい


結局、車はそのまま事務所に到着する


「令子、今日の事故に関して聞きたいから、明日の朝一番でまた来るわよ」

美智恵は車を降りた令子に窓を開けて話しかける

それに対して令子は嫌そうな顔をしているが、渋々従うようだ



令子達を降ろした西条は、美智恵をオカルトGメンの事務所まで送って帰って行く

美智恵は空港には自分の車で行っていたが、帰りに令子と一緒に帰る為に車をGメンの職員に事務所まで運ばせていたのだ


「さて、計画の立て直しね」

自分の車を走らせ、考えを立て直し始める美智恵

今日1日で知った事実を元に早急に新たな計画が必要であった

明日の朝までには新しい計画を決めるつもりである


美智恵の車はそのまま夜の闇に消えていく

後ろを尾行するクロサキに気付かぬまま……



そして美神事務所では、令子が疲れたようにイスに座り込む


「タマモとシロはまだ帰ってないのね…」

「美神さん、私は先に休ませてもらいます」

不機嫌そうにつぶやく令子に、おキヌはお茶を出して部屋を後にする


「お疲れさま、ゆっくり休んでね」

おキヌにねぎらいの言葉をかけ、令子も寢室に向かっていく



結局、おキヌは令子に何も言わなかった

いや、言えなかったのだろう


おキヌ自身混乱の極みに達しており、何を話していいのかもわからない

そんな状態では、あの光景を口に出しては言えないのだろう



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