一方魔鈴の家に戻った横島達は、食事が出来るまで魔鈴の用意したワインを飲み待っていた


「すごいな～　ほんまに魔女っておるんやな」

異界の魔鈴の家を見て興味津々だったのは銀一である

今回の映画やその前のドラマを撮る際に、ＧＳやオカルトを自分なりに勉強をしてはいた

だが、それはＧＳの仕事を扱った本やオカルト関連の本を数点読んだだけで、それほど詳しくは無い


世界に唯一の魔女と言う魔鈴は、オカルト業界やオカルト好きな一般人には有名ではあるが、当然オカルトに縁の無い人達は知らない人が大多数であった


「まあ、魔女は魔鈴さん１人だからな。　魔女や魔法は中世の魔女狩りで滅んだらしい。　魔鈴さんはそれを復元した唯一の人だよ」

横島の説明を興味深げに聞いている銀一


「今日は本当に疲れたわね～」

「拙者も疲れたでござる。　飛行機があれほどもろいとは…」

タマモとシロも少し疲れた様子でくつろぐ

２人はワインでは無くジュースであるが…


「２人共ごめんな。　俺のせいで…」

飛行機を襲った悪霊に狙われていた銀一は、申し訳無さそうに謝る


「別にあなたが悪い訳じゃないわ。　あの程度の霊症は事故と同じよ。　極端に言えば運が悪かっただけ」

謝る銀一にタマモは笑顔を見せて否定する

前から銀一の周囲に取り憑いていた悪霊を刺激したのは、霊力の高い令子や横島や自分達だとタマモは理解していた

まあ気が付かず放置して置けば、いつ今回のように襲われるかわからず危険なのだから、銀一にとっては不幸中の幸いなのだ


「銀一殿は被害者でござるよ？　謝るのは筋違いでごさる」

シロは少し不思議そうに銀一を見る

同じ被害者である銀一を責めるつもりなど全く無いのだ


「そうか。　ありがとうな」

タマモとシロの優しさに銀一は笑顔になった

普通あんな事件に巻き込まれたら、責められても仕方無いと思っている

なのにそんな素振りも無い

銀一には２人の優しさが非常に心地良かった



「さあ、出来ましたよ」

横島達がくつろいでる間に魔鈴が料理を完成させて運んで来る


「夜中ですから軽い物を中心にしました。　銀一さんは明日朝から仕事のようですしね」
　
魔鈴は料理を配りながら笑顔で説明していく


「さあ、食べようか」

魔鈴が座ったところで横島達は食べ始める


「おう～　本当に美味いな！」

一口味わった銀一は驚きの声をあげる

仕事柄いろいろな店に行ったことのある銀一でも、魔鈴の魔法料理は驚くほど美味かった


「ありがとうございます」

銀一の反応を見ていた魔鈴は、少し安心したような笑顔を見せる

プロの料理人として喜んで貰えてホッとしていたのだ


「魔鈴さんの魔法料理は美味しい上に健康にもいいよ」

銀一が料理を誉めるのを、横島は我が事のように喜んでいる

何故か自分が誉められた以上に嬉しい気持ちであった

まあ横島の場合は極度の自己不信な為、自分が誉められると素直に受け取れない性格にも問題はあるのだが…


そんな横島達の楽しい食事は、時間を忘れるように続いていく