新しき絆・2

一方、飛行機に乗っていた乗客達は、気が付いたら空港に到着していた為、みんな不思議そうに首を傾げていた

怪しいアナウンスの後の記憶が無いのだから理解出来なかったようだ


一般乗客達は今回の出来事の説明を受ける為、飛行機から降りると空港の別室に案内される


そして今回の事故の真実を知るCAと横島達は、別に特別室に案内されていた


「お待たせしました。」

特別室に入って来たのは先ほど管制塔に居た関係者達

中には美智恵や渡辺管制官もいた


関係者達は特別室に居るメンバーを見て、驚きで不思議そうに横島達を見つめる


「彼らが今回の事故を乗り切ったのかね?」

関係者達は、まだ未成年の横島達が事故を解決したのが信じられないようで、空港スタッフに確認する


「はい、そのようです」

スタッフの言葉を聞いても不思議そうな関係者


「美神君…」

誰かが横島を知る美智恵に再び確認した


「はい、彼らで間違いないです」

美智恵は無表情で関係者に説明するが、内心は穏やかでは無い

今日知った横島達の真実の方で頭がいっぱいであった


それから関係者は横島達に今回の事故について詳しい説明を求める


「今回は正体不明の悪霊に飛行機のパイロットが襲われたんです…」

悪霊に関しては、見習いだがGS免許を持つ横島が説明した

横島は悪霊について正体や目的は一切不明だと説明する

その説明に銀一が何か言いそうになるが、隣に居たタマモに無言で止められた


横島は悪霊と銀一の繋がりを全て隠して事実を伝える

これは後になって銀一のスキャンダルにならないように、横島が配慮したのだ


あの悪霊を見たのは横島達以外はCAと令子だけ

CAは悪霊に関して詳しく無い為、口を挟むこと無く

令子に関しては、わざわざ不要に銀一と悪霊の繋がりを話すことは無いだろうと横島は考えていた


1時間に渡り説明をしていく横島

一通り説明が終わると、関係者が口を開く


「今回の件は外に真相を話さないでもらいたい。 いらぬ混乱は避けたいのでね。 事故調査委員会の結論が出るまでは、不用意な発言は避けてくれたまえ」

役人は横島達が未成年な為、強気になり威圧的になっている


「事は重大なのだ… 飛行機の対心霊対策は、今まで費用対効果の点からほとんど進んで無い。 航空各社や全国の空港に心霊対策をさせるには、莫大な費用と長い準備期間が必要だ。 現在の経済状況で航空関連の不安が広がれば、日本経済がズタズタになる。 問題は高度に政治的な判断が必要になるのだ」

別の役人も問題の長期化は避けられない点を横島達に説明した


「君達には感謝している。 おかげでパイロットも命を取り留めたようだし、被害者がゼロだ。 事故の状況を考えれば奇跡的にいい結果だ。 本当にありがとう」

先ほどとは違う役人達の横暴な変貌ぶりに、良心的な関係者が横島達をフォローする


「後、近畿君だが… 君が乗っていたのは乗客からマスコミに漏れるだろう。 くれぐれも真相を漏らさないように気をつけてほしい」

関係者は芸能人の銀一に口止めして、話は終わった

そして横島達が部屋を出ようとすると、時間はすでに深夜近くなっている


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