コックピットに到着した横島は文珠を見つめ考え込んでいた


「やっぱり文珠を使うしかないか…」

この状況で飛行機を地上に下ろすには他に方法が浮かばない


「先生…」

「横島さん」

シロとおキヌは自分ではどうしょうもなく、不安そうに横島を見つめる


「あの…　管制塔が詳しい説明を求めてるんですが…」

ＣＡは考え込む横島に管制塔の要望を伝える


「はい、俺が出ます」

横島は少し考えて、状況的に自分が説明するしかないと思い、自分が無線を受け取る


『こちらハネダ・エアポートよりＧＡＧ２０２便へ。　状況を説明せよ！！』

管制塔は関係者でひしめき合っていた


『ＧＡＧ２０２便よりハネダ・エアポートへ。　正体不明の悪霊は除霊しました。　着陸に向けた検討をお願いします』

横島の声に管制塔の美智恵と西条は表情が強張る


『ハネダ・エアポートよりＧＡＧ２０２便へ。　君は誰だ？　それとパイロットは操縦出来るのか？』

管制塔の中は混乱を極めていた


『ＧＡＧ２０２便よりハネダ・エアポートへ。　俺は横島です。　ＧＳをしてます。　パイロットは命は取り留めましたが、意識が回復しない為操縦不可能です』

横島の通信に、管制塔では絶望的な空気が流れる

どう考えても素人が飛行機を地上に下ろすのは不可能に見えた


「すいません。　無線代わって下さい」

美智恵は関係者から無線を半ば無理矢理取り上げた


『横島くん！　聞こえる？　美神美智恵よ。　令子は居ないの？』

関係者が慌てる中、美智恵は無線で横島に語りかける


『美神さんは、悪霊を除霊する時にパラシュートを付けて外に出ました。　そしてそのまま戻れなくなりパラシュートで地上に降りました』

横島の声に美智恵は無表情で考える

そして西条に目で合図して、西条は管制塔から出て令子を迎えに行く


『これからどうするの？　操縦出来る人は居るの？　操縦席は破壊されたんじゃないの？』

関係者がガヤガヤ騒ぐ中、美智恵は冷静に状況の確認を急ぐ


『操縦は俺がします。　他に方法は無いでしょう。　操縦席は窓と計器類の一部が破壊されてますが、やるしかないと思います』

横島の通信に管制塔は否定的な意見が溢れる

「素人に操縦が可能な訳が無い！」

「ふざけるな！」

関係者の大半は怒りの表情で否定的な意見を述べる



「静かにしろ！」

混乱していた管制塔を誰かが一喝した

それは混乱する中、１人静かに考え込んでいた白髪混じりの管制官である


「飛行機の燃料と着陸空路の確認をしろ！」

管制官は混乱する部下達に指示を出し関係者を見る


「他に方法がある方は言って下さい。　無ければ、無線の彼に操縦させます」

管制官の言葉に関係者は一様に無口になる

方法など無いのだ

誰かが操縦するしか無い


「しかし、渡辺君…　失敗すれば誰が責任を取るのだね…？」

口を開いたのは、１人の役人である

関係者の多くはすでに墜落した時の責任問題を考え始めていた


「ならこのまま燃料切れになって、墜落するのを待ちますか？　死ぬかもしれない状況で冷静に操縦すると言った彼に賭けるしかないでしょう？」

渡辺と呼ばれた管制官は冷静に状況を語っている