新しき絆・2

横島達がコックピットに行くと、CAが一人で管制塔と交信している


「お待たせしました。 除霊は完了しました」

横島の言葉にCAはホッとしたように一息つき、管制塔に報告する



その少し前

管制塔には、たくさんの関係者が押し寄せていた

警察、消防、レスキュー隊などは元より、オカルトGメンや国交省などの役人も集まって対策を立てている


そして空港には、早々と情報を聞きつけたマスコミのカメラが多数押し寄せて、騒ぎが大きくなっていた


「西条君、状況は?」

美智恵は空港に着くなり西条に報告を求める


「現在は偶然乗り合わせた民間GSが、飛行機に取り憑いた悪霊を退治している模様です。 なお、コックピットの一部を悪霊により破壊された模様。 同時にパイロットも重傷になり操縦者が居ない模様です」

西条は険しい表情で美智恵に報告をする


「なんて状況なの… それじゃあ、飛行機が墜落するのを待つくらいしか出来ないじゃない!」

美智恵は絶望的な状況に険しい表情になる


「警察庁が飛行機の進行方向の民間人を避難させるか検討を始めてます」

「そんなの間に合う訳無いでしょ? 一歩間違えばパニックよ!?」

美智恵は次々に報告を受けていくが、状況を好転させる情報が無い


「で、民間GSって誰なの?」

オカルトGメンの美智恵としては、悪霊を優先的に対策を立てる必要があるので、そちらを西条に問いかける


「詳しくは不明ですが…、CAの話によればオレンジ色の髪の長い若い女性と、バンダナを巻いた少年達だそうです…」

苦しみの表情で話す西条に美智恵の足は止まる


「まさか… 令子達なの!?」

美智恵の表情が更に険しくなる


「未確認な為、断言は出来ませんが…恐らくは」

西条は言葉を選びながらも、恐らくは令子達だろうと思っていた


「管制塔に行くわよ!」

美智恵は無表情に戻して管制塔に向かう



そして美智恵を尾行していた雪之丞も空港に到着していた


「なんなんだ、この騒ぎは?」

たくさんの警察や消防やマスコミの車が並ぶ空港に、雪之丞は顔をしかめる


『俺だ、奴は羽田空港に入って行った。 それに空港は凄い騒ぎだ。 何があったかわかるか?』

雪之丞の電話に百合子は一瞬考える


『少し待って、情報を集めるわ』

百合子は電話を切り大樹を見た


「羽田で何か事件みたい。 一応調べてみるわ」

「ああ、わかった」

百合子と大樹は携帯で、情報集めに電話をかけていく



時を同じくして魔鈴は、自宅でテレビを見ていた

[緊急中継! 飛行機が上空でトラブルか!?]

そんなテロップの元、羽田空港から中継を流したりして情報を集め放送している


当局からの発表は無いらしく、詳しい情報は放送されて無いが

集まった関係者の数に、マスコミは事故やテロなど、様々な予想をしている


「危ないですね…」

魔鈴は心配そうにテレビを見るが

まさかその飛行機に横島達が乗っているなど考えもしてないようだ
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