新しき絆・2

空港に向かった横島達は、すでに飛行機に乗っていた


「もう少しいろいろ食べたかったわね」

「拙者、肉が食べられなくて無念でござる」

タマモとシロはあまりに早い帰りに少し残念そうだ


「今度、俺が連れて来てやるよ」

横島は笑顔でそんな2人をなだめる


令子は飛行機に乗るなり、すぐに寝る体制に入っていた

おキヌが落ち込んだ様子で無言な為、令子に話しかける人が居ないのである

他にも横島達の楽しそうな会話を聞きたくない、との理由もあるが…

本人は自覚は無く、イライラするから寝ただけである


「いや~ ほんまに貴重な体験やったわ」

銀一は飛行機に乗り一息ついて先ほどの除霊を振り返っていた


「そうか? いい映画になるのを期待してるよ」

横島はいろいろあったが、銀一が満足する結果になってホッとしている


「ああ、期待しててや!」

銀一はやる気に満ちた表情で言いきる

怖い思いもしたが、それが逆にリアルな除霊を感じれたようだ


「芸能人も大変なのね…」

タマモは銀一を見てシミジミ呟く

面倒くさいことが嫌いなタマモにとっては、映画の為にわざわざ除霊を見学に来た銀一が大変にみえたようだ


「まあ、テレビで見るよりは楽やないで… でも応援してくれるファンが居るから頑張れるんや」

銀一は笑顔でタマモに答える



そんな時…


ガクン

ガクガク…

飛行機が突然揺れだす


「乱気流か?」

銀一は少し不安そうに呟く


「横島、何か居るわ!」

タマモは険しい表情で横島に教える

隣ではシロも辺りを見回して警戒していた


タマモとシロより少し遅いが、令子も目を開ける

「霊気!?」

令子はすぐさま起き出して、飛行機の操縦席に向かう


「俺達も行こう」

横島は険しい表情でタマモとシロを連れて、令子の後を追っていく

それに続き銀一とおキヌも、心配そうに横島達に着いて行った


「お客様、お席に…」

CAが突然操縦席に向かう令子を止める


「私はGSよ! 機長に話があるの!」

しかし令子はCAを振り切り操縦席に行く


「機長、今の揺れは?」

令子が操縦席のドアを開けると…


ビョォオオッー

ゴーゴーゴーゴー!


凄まじい風が令子に吹き付ける

令子は目を凝らして操縦席を見ると、操縦席は窓ガラスが割れておりめちゃめちゃだ

しかも、原因らしき悪霊により機長や副機長は瀕死のようである


「ゲッ!!」

さすがの令子もその状態に顔が引きつる


「ふふふふふ… カレがいけないのよ…! GSなんか宿って私を遠ざけようとするから…殺すの!!」

悪霊が令子を睨みながら話していると、横島達がやって来た


「カ… カレ!?」

令子は引きつったまま、悪霊に問いかける


「近畿クンに決まってんでしょ! このブス!」

悪霊は令子を睨みながら話を続ける


「カレ、私の夫なのよ… テレビでいつも私を見て笑ってくれてたわ… だから殺す!! 飛行機だから落とせばいいんだもん… 簡単よね近畿クン…!」

悪霊は後ろに見えた銀一を見て、不気味な笑みを浮かべている


「悪霊のストーカー!?」

令子がおぞましげに叫ぶ


「やっぱり芸能人って大変なのね…」

タマモは銀一に同情の視線を向ける
19/64ページ
スキ