番外編・動き出す心
「本当に俺って何やってもダメだよな」
横島自身わかっていた事とはいえ、自分の無知さと無力さには本当に嫌気がさしてくる
令子の言葉は正しいのだろうが、横島には横島なりに考えや思いがあった
それを頭ごなしに否定され怒鳴られた事には、悔しさすら込み上げてくる
「お前ならこんな時なんて言うんだろうな」
いつも肌身離さず持ち歩いている彼女の霊波片を見つめ、横島は再び彼女の事に想いを巡らせていく
(会いたいよ……)
考えれば考えるほど彼女に会いたくなる横島は、そのまま時が過ぎるのをただ感じるしかなかった
「敵でもいい。 また一緒に夕日を見て、ヨコシマ!」
(夢か……)
いつの間にか自分の胸の中で微かに震える彼女の姿に、横島はそれがまた夢を見ているのを自覚していた
あの日以来毎日のように見る彼女の夢は、横島にとって幸せでもあり苦しみでもある
夢とはいえ彼女に会える喜びは言葉で表しきれないほどだが、同時にそれが夢だとわかるだけに苦しい
(ヨコシマ…… ありがとう)
「ルシオラ! 待ってくれ!! 俺は…… 俺は……」
自分の中にある彼女の最後の言葉で、横島は目を覚ましていた
夢の内容こそ微妙に違うが、だいたい最後は彼女の終わりで目を覚ましてしまう
夢だとわかっていても想いを言葉を伝えたい
しかしその想いも言葉も伝えられないのだ
「はあ……、はあ……」
夏でもないのに汗をびっしょりと流している自分に、横島は何故か苛立ちを感じてしまう
「俺は何をやってるんだ! あいつがくれた命でいったい何を!!」
毎晩のように夢を見るだけで、何もしてやれない事が横島にとっては許せない事だった
何をしていいかもわからないし、何をするべきかもわからない
しかし朝起きるといつも、自分に対する怒りや憎しみが込み上げてくる
そんなやり場のない怒りや憎しみを癒すのもまた彼女の霊波片だった
ふと霊波片を手に取った横島は、それを愛おしそうに見つめたまま再びいつものように落ち着いて無気力化していく
それからどれだけ時が過ぎたかわからないが、横島の部屋にも眩しいほどの朝日が降り注いでいる
何かに反射した朝の日差しが横島の目に入り、ふと現実に引き戻していた
「あれは一昨日の……」
横島の目に日差しを反射させていたのは、タマモにあげた水が入った皿だった
片付けなどしないため、ドッグフードやきつねうどんの食べた空もある
「あいつも一人なんだろうな」
よく考えてみると九尾のタマモは、一人で人間から隠れながら生きているのだ
生まれて何も悪い事もしてないのにあんな目に会ったタマモに、横島は僅かに共感してしまう
「一からやり直そうかな」
まだ小さいタマモが必死に生きようとしていた姿を思い出した横島は、ふと自分もこのままじゃダメなのではと感じる
「ルシオラ……、お前にもう一度会う為に俺は……」
自分が助けなければ、誰がルシオラを助けるのだろう
そう考えた横島は、何故か力が込み上げて来る気がした
迷いや苦しみは消えないが、自分はルシオラの為に強くならなければならないと横島は心に誓う
横島自身わかっていた事とはいえ、自分の無知さと無力さには本当に嫌気がさしてくる
令子の言葉は正しいのだろうが、横島には横島なりに考えや思いがあった
それを頭ごなしに否定され怒鳴られた事には、悔しさすら込み上げてくる
「お前ならこんな時なんて言うんだろうな」
いつも肌身離さず持ち歩いている彼女の霊波片を見つめ、横島は再び彼女の事に想いを巡らせていく
(会いたいよ……)
考えれば考えるほど彼女に会いたくなる横島は、そのまま時が過ぎるのをただ感じるしかなかった
「敵でもいい。 また一緒に夕日を見て、ヨコシマ!」
(夢か……)
いつの間にか自分の胸の中で微かに震える彼女の姿に、横島はそれがまた夢を見ているのを自覚していた
あの日以来毎日のように見る彼女の夢は、横島にとって幸せでもあり苦しみでもある
夢とはいえ彼女に会える喜びは言葉で表しきれないほどだが、同時にそれが夢だとわかるだけに苦しい
(ヨコシマ…… ありがとう)
「ルシオラ! 待ってくれ!! 俺は…… 俺は……」
自分の中にある彼女の最後の言葉で、横島は目を覚ましていた
夢の内容こそ微妙に違うが、だいたい最後は彼女の終わりで目を覚ましてしまう
夢だとわかっていても想いを言葉を伝えたい
しかしその想いも言葉も伝えられないのだ
「はあ……、はあ……」
夏でもないのに汗をびっしょりと流している自分に、横島は何故か苛立ちを感じてしまう
「俺は何をやってるんだ! あいつがくれた命でいったい何を!!」
毎晩のように夢を見るだけで、何もしてやれない事が横島にとっては許せない事だった
何をしていいかもわからないし、何をするべきかもわからない
しかし朝起きるといつも、自分に対する怒りや憎しみが込み上げてくる
そんなやり場のない怒りや憎しみを癒すのもまた彼女の霊波片だった
ふと霊波片を手に取った横島は、それを愛おしそうに見つめたまま再びいつものように落ち着いて無気力化していく
それからどれだけ時が過ぎたかわからないが、横島の部屋にも眩しいほどの朝日が降り注いでいる
何かに反射した朝の日差しが横島の目に入り、ふと現実に引き戻していた
「あれは一昨日の……」
横島の目に日差しを反射させていたのは、タマモにあげた水が入った皿だった
片付けなどしないため、ドッグフードやきつねうどんの食べた空もある
「あいつも一人なんだろうな」
よく考えてみると九尾のタマモは、一人で人間から隠れながら生きているのだ
生まれて何も悪い事もしてないのにあんな目に会ったタマモに、横島は僅かに共感してしまう
「一からやり直そうかな」
まだ小さいタマモが必死に生きようとしていた姿を思い出した横島は、ふと自分もこのままじゃダメなのではと感じる
「ルシオラ……、お前にもう一度会う為に俺は……」
自分が助けなければ、誰がルシオラを助けるのだろう
そう考えた横島は、何故か力が込み上げて来る気がした
迷いや苦しみは消えないが、自分はルシオラの為に強くならなければならないと横島は心に誓う