新しき絆・2

近畿剛一は苦笑いの横島やタマモとシロを、少し見つめていた


「横島、そろそろ準備しないと…」

そんな時タマモが横島に声をかける

タマモの視線の先には、横島を睨む令子が居たのだ

近畿剛一が横島に挨拶に行ったのが面白く無いらしい…


「横島…!?」

近畿剛一は横島の名前を聞くと、驚きの表情で横島を見つめる


「ああ、準備に行くか」

横島はタマモの言葉に荷物を取りに倉庫に向かうが…


「さっきから、ひょっとしたらと思ってたけど… お前、横っちか!?」

近畿剛一の問いかけに横島は振り返る


「えっ…!? なんで俺の小学生の頃のあだ名を…!?」

横島は懐かしい呼び名に不思議そうに近畿剛一を見る


「俺や!! 5年の時に引っ越した銀一や!!」

銀一はさっきとは表情が一変し、嬉しそうに横島に話しかけた


「え゛…… 銀ちゃん!?」

横島は驚いて固まって銀一を見つめる


「久しぶりやな~ 元気やったか!?」

「ああ… 元気だよ。 俺よりも銀ちゃんは芸能人になってたんだな~」

銀一と横島は、偶然の再開を素直に喜ぶ

約7年振りの親友との再開は意外な形であった


一方、周りのメンバーは不思議そうに横島と銀一を見つめる

令子やおキヌはトップアイドルと、横島が知り合いなのに驚き

タマモとシロは、初めて見る昔の横島の友達を不思議そうに見つめる


「先生…? 友達でござるか?」

2人で喜ぶ横島と銀一に声をかけたのはシロ


「ああ、小学生の頃に一番仲良かった奴だよ」

横島は嬉しそうにタマモとシロに説明する


「銀ちゃん、こいつはタマモ。 こっちがシロだ。 2人は妖怪だけど、俺の大切な仲間なんだ!」

横島は笑顔で銀一にタマモとシロを紹介する


「改めてよろしくね。 妖狐のタマモよ」

タマモは、先ほどの挨拶とは別人のような微笑みを浮かべて銀一に挨拶する

横島の様子を見れば、横島と銀一がいかに仲が良かったかタマモには理解出来た

横島の友達なら、タマモも銀一に対して対応が変わる


「拙者、人狼の犬塚シロでござる!」

シロは見た目あまり変わらないが、横島の友達なので先ほどよりもしっかり挨拶していた


「本物の妖狐に人狼なのか…? すげーな。 俺の事は銀一って呼んでくれ。 横っちの仲間なら友達も一緒や」

銀一は初めて見る妖怪に驚くが、すぐに笑顔になりタマモとシロと握手をしていく


偶然の再開を喜ぶ横島と銀一

そして、当然のようにその輪に加わるタマモとシロ



しかし…

その輪に加われない人物が2人居る

すっかり放置されている令子とおキヌである


おキヌは最早、言葉も出なかった

横島と銀一が友達だったのも驚きだが、仲間として紹介されたのはタマモとシロだけである


(横島さんにとって私は……)

横島に対しての距離は感じていたが、それでもまだ仲間には変わりないと、思い込んでいた


しかし…、先ほどの横島の言葉に自分は居ない

おキヌは気が遠くなりそうなほどの衝撃を、顔に出さないように必死に笑顔を作る

現実を直視せずに、令子に流され続けたおキヌには、笑顔を取り繕うしか出来ることは無かった
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