新しき絆・2

次の日の朝

美智恵は西条から衝撃的な一言を聞かされる

「先生、令子ちゃんと僕は正式に付き合うことにしました」

出勤した美智恵は、西条から連絡事項などを報告を受けた最後に告げられた

美智恵は一瞬複雑な表情をするが、すぐに消す


「西条君…、令子の相手は大変よ? 覚悟はあるの?」

美智恵は冷静に西条を見つめて問いかける


「はい、必ず幸せにします!」

西条は自信に満ちた表情で即答する


「わかりました」

美智恵は言葉少なく返事をし、西条は部屋を後にする


(先生はやはり、僕が令子ちゃんと付き合うのをよく思って無いな…)

西条は前から薄々は感じてはいたが、改めて確信する

(でも僕以上の男など… まさか本当に横島君に期待してるのか?)

西条は少し考えて、美智恵が横島をかなり気に入っているのを思い出す

(確かに文珠は珍しいが、総合力では僕が上のはず… 性格も見た目も経歴だって、何一つ横島君に負けるはずは無いのだが…)

西条が内心認めてるのは、横島の文珠だけである

総合的な霊能力も横島に勝つ自信があるし、霊能以外は勝負にもならないと思っている


西条はエリートとして、何不自由なく生きて来た

一方横島は、貧乏で頭の悪いただの高校生

比べるまでも無いと思っている

(まあいい。 うまく行けば先生も認めてくれるだろう)

西条は自信に満ちた笑みを浮かべ仕事に戻っていく


そして美智恵は…

無表情で怒りを抑えている

「敵は身内にも居たのね…」

静かな室内に美智恵の言葉が響く


「令子… 私に反抗してる場合じゃないのよ… 」

美智恵は怒りから悲しみの表情になり呟く


「とりあえず横島君は、私の手の届く範囲で管理しないと…」

美智恵はそれでも諦めない

令子と西条はいずれ失敗する

その時こそ横島が必要だ

その為には、横島を自分の管理出来る範囲に置かなければならない

美智恵は狂いっぱなしの計画を立て直すべく、考えていく

「横島君… 逃がさないわよ。 」

美智恵は黒い笑みを浮かべて呟く


しかし…

そんな美智恵の思惑とは裏腹に、動き出した流れは止まらない


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