それから横島は魔鈴に問い詰められ、具体的な修行内容など事細かく白状させられる

横島の体調に以前から危機感を持っていた魔鈴は、無茶してないと言う話は信用してないようだ


「はぁ……」

魔鈴は修行内容や時間などを聞き、呆れたように深くため息をはく

横島の修行は、予想通りの無茶ぶりであった

（この人は、本当に誰かが支えてやらないとダメですね…　目を離したら、また無茶をするでしょうしね…）


横島は魔鈴が心配しているのを理解しており、申し訳ない様子で小さくなっている


「横島さんが強くなりたい気持ちは、少しは理解してるつもりですが…　それでも無茶しすぎです」

魔鈴は、申し訳なさそうに小さくなってる横島を見ていると、思わず苦笑いが出てしまう

（本当に不器用な人ですね…）

「横島さん、あなたは普通の人間なんです…　それを忘れないで下さい。　これからは私も修行に協力しますから、１人で隠れて修行はしないで下さいね」

魔鈴は、横島をこれ以上責められなくなり、優しく抱きしめる


「はい、ありがとうございます…」

横島は、魔鈴の優しさゆえの小言に暖かい気持ちが広がり、思わず涙が溢れてくる


今まで横島の事を、魔鈴のように普通に心配してくれる人は居なかった

周りの人間は、横島だし大丈夫と言って、無茶を強要していたし

一番心配していたおキヌですら、横島の無茶が当然のように扱っている

そんな横島にとって、普通の人間として心配してくれる魔鈴の優しさは、涙が出るほど嬉しいものだった


「横島さん！？　ごめんなさい…、言い過ぎましたね」

魔鈴は涙ぐむ横島を見て、キツく言い過ぎたのかと後悔する


「いえ、違うんです…　嬉しいんです…　俺を普通の人間として、心配してくれる魔鈴さんの優しさが……」

横島は魔鈴を抱きしめて、嬉し泣きのように微笑みながら涙ぐむ


「横島さん…」

魔鈴は言葉が出ない

普通に心配しただけなのだが、横島は泣くほど喜んでいる


（つらかったんですね…　考えてみれば普通の高校生なんですから当然ですよね…）

魔鈴は嬉しそうに涙ぐむ横島を優しくなだめる

（この人は優しすぎるわ…　自分の体と精神をすり減らして周りを守って来た…）

「横島さん、もう大丈夫ですよ。　これからは２人で頑張りましょうね」

魔鈴は優しく微笑み、横島の体や精神を守ることを改めて誓う


その夜…、横島と魔鈴は、愛を確かめ合うようにお互いを求めていく


そしてこの日、横島が魔鈴の家に住むことが決まり、２人の長いバレンタインは終わりを告げる