新しき絆

午後の授業が始まる時間には、愛子は普段の様子に戻っていた

それが本心からかどうかは、ピートにもわからない


そして、横島は心に多少の違和感を感じるが…

過ぎゆく授業の中で、違和感は消えてしまう


時間はあっという間に放課後になり、横島達は学校から帰宅する

学校の玄関で、小鳩からバレンタインをもらうが、それ以外は普段と同じくアパートに戻る


そんな時…

帰宅途中の横島に不思議な出来事が起こる

知らない女の人から、バレンタインチョコを渡されたのだ


見たこと無い女子高生と、OLらしき女性の2人に

横島は困惑気味に理由を尋ねるが、少し前に一目惚れしたとか、前から好きだったとかそんな理由である


不思議そうに呆ける横島に、女性はチョコと連絡先を渡して去っていく


横島は帰り道で考えながら歩くが、やはり知らない女性である

「どうなってるんだ?」

横島は首を傾げて、チョコを見つめる


前の横島なら、その場で飛びかかるほど喜んだだろう

しかし、今は見知らぬ女性に興味が無い


ルシオラと魔鈴

2人にあれだけ愛された横島は、その辺の軽い女性に興味が無くなっていた


「俺がモテるなんておかしいな… しかも、見知らぬ女性に…」

横島は相手に興味が無いので、冷静に考えてみるが、やはり納得がいかない

極度の自己不信の横島は、逆に不気味に感じてしまう


「まあ、いいか… 相手にしなきゃ問題あるまい」

横島はそう判断して、アパートに戻り服を着替えて魔鈴の店に向かう

この時、もらったチョコはアパートに置いて出かける


「こんにちは、魔鈴さん。 弁当美味しかったっす」

横島は魔鈴に空の弁当箱を渡して、お礼を言う


「良かった… また作ってあげますね♪」

魔鈴は機嫌よく弁当箱を洗う


「バレンタインチョコ売れたみたいですね~」

横島は2~3日前からレジの横で売っていた、手作りチョコが無くなっているのを見ていた


「ええ、お昼には完売でしたよ」

魔鈴も予想以上に売れたようで、その顔には充実感に満ちている


横島はそれから魔鈴の厨房のアシスタントをして時間を過ごし、夜になると魔鈴と一緒に夕食を食べる


そんな今までと変わらない生活だが、横島の心は暖かい気持ちで満ちており、幸せだった

それは魔鈴も同じで、愛する人と共に働く幸せを噛みしめている

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