新しき絆

美智恵は自分の朝食を手早く食べてひのめにミルクをあげ始める

「今日はバレンタインね… 横島君にチョコあげるの?」

美智恵は笑顔で令子やおキヌを見る

「私はあけないわよ」

令子は不機嫌気味に答える

美智恵はここ最近横島の話が多すぎる

令子は横島は自分の所有物と思ってる為、いちいち口出しされるのが嫌でたまらない


「私は……」

おキヌは口ごもってしまう

もちろん横島にあげるチョコは用意してあるが、渡せる自信が無い

最近横島との距離を感じてる為、渡すのが怖いのだ


美智恵はそんな令子とおキヌを見ながら考えている

(令子は相変わらずね… やはりおキヌちゃんしかないわね…)

美智恵は心で悪い笑みを浮かべておキヌを見る


「おキヌちゃん、横島君が好きならしっかりと伝えて形にしないとダメよ?」

美智恵はニコニコと話していくが、おキヌはいまいちな表情である

「もう高校生なんだから、恋愛して遅いなんてことは無いわ。 いつまでも、中途半端な関係で満足してると手遅れになるわよ」

美智恵は笑顔で語るが… 
バン!!

「ちょっとママ!? おキヌちゃんに変なこと言わないでくれる! おキヌちゃんは私が氷室さんから預かってるのよ! 横島なんかとくっついたら申し訳がたたないじゃない!!」

令子はテーブルを叩き、美智恵を睨んで文句を言う

話の内容はおキヌを心配しているような感じだが、本心が違うのは美智恵とタマモには丸わかりであった


「あなたこそ、何様のつもりなの? 恋愛は自由なのよ。 なんでおキヌちゃんが恋愛するのにあなたの許可がいるの?」

美智恵は冷静に令子を見て淡々と語る


「相手は横島なのよ!? 告白なんてしたらすぐに取り返しのつかない事態になるわよ!!」

令子は怒りにまかせて美智恵に文句を続ける


「本人がそれを望むならいいじゃない。 愛し合えば当然よ? 今時、結婚まで処女じゃなきゃいけないなんて古いわよ」

美智恵は淡々と語っているが、娘への怒りが混じってきている


変に堅すぎる貞操感など必要無い

本当に好きなら一気に行くべきだと、美智恵は思っている


だが、令子が変に堅すぎる貞操感なのは、両親の影響が強い


父親の愛情をあまり知らない令子は、男性に対してコンプレックスが強すぎた


美智恵は自分達、親の責任を棚に上げて、令子を説教しているのだ


そんな美智恵と令子をおキヌは複雑な表情で見つめる


そしてタマモは美智恵の意図に気が付いていた

(今度はおキヌちゃんをダシに使う気なのね… 素直にならない美神へのあてつけと、危機感を煽るために… それに、横島と魔鈴さんを引き裂くにはおキヌちゃんが一番いいって訳ね…)

タマモは黙々と食事をしつつ、内心嫌気がさしている

(外道ね… 目的の為には手段を選ばないのはいいわ。 でも仲間まで利用するなんて…)


そしてシロは、険悪な空気に珍しく黙って食事を食べる

後でタマモに詳しく聞くまで、余計なことは言わないつもりらしい

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