「アハハハハ…」

「ウフフフフ…」

横島と愛子は、お互いにこれ以上タイガーに深入りされないように、笑って誤魔化す


タイガーは微妙に疑いながら横島と愛子を見る

いつもなら、真っ先に騒ぐ横島が大人しいのも不自然だ

それに、愛子が横島に渡したチョコはやはり何か違う気がする


そんな微妙な空気を壊すのはやはり…

「おはようございます」

両手に紙袋を持ち、たくさんのチョコをもらって現れるピートである


「モテる男は敵ジャー！！」

タイガーは横島と愛子の疑いなどすっかり忘れて、叫びながら走ってどこかに行く…


「何かあったんですか？」

ピートはタイガーを不思議そうに見送り、横島と愛子に聞く

「気にしないでいいわよ。　いつもの発作だから」

愛子は疑いを持っていたタイガーが消えてホッとしたようにピートに答える


「相変わらず凄まじいな～　なんでお前だけモテるんだ？」

さすがに横島も少し面白くなさそうにピートを見る


「さあ…　僕に言われましても…」

「ピート君にバレンタインチョコあげるのが、学校の行事になってるのよね～　とりあえず、バレンタインに参加するなら一番いいのよ」

ピートが苦笑いして不思議そうに首を傾げるのを見て、愛子が説明をする


ピートの貰うチョコの大半は好きになる前の憧れや、バレンタインに参加したいだけの女の子が渡した物である

好きな人に渡したくても渡せない

好きな人が居ない


そんな女の子は、とりあえずピートにチョコを渡してバレンタインに参加するのだ

ピートはたくさんの人から貰うのであげても騒がれない

その為、バレンタインを楽しみたい女の子には丁度良かった

もちろん本命もあるが、ピートには見分けがつかない

なんともピートには迷惑な行事である


「はい、ピート君　私からのバレンタインチョコよ。　たくさんあるし、いらないと思うけどね…」

愛子は微妙に苦笑いしながら、ピートに渡す

「ありがとうございます」

そうしている間にも、たくさんの女の子がピートにチョコを持ってくる

そんな調子で横島達の１日は始まる



ここで少しだけ時間を遡る

時間は朝の５時３０分

美智恵はひのめを連れて、令子の事務所を訪れていた


まだおキヌも寝ていた為、美智恵は一足先に令子達の朝食を作る


時間が６時過ぎた頃、おキヌが一番に起きて来た


「あれ！？　美智恵さんどうしたんですか？　朝早く？」

おキヌは朝食を作っている美智恵を見て驚き問いかけた


「ちょっと早く起きちゃてね…　たまにはみんなで朝食を食べようかと思ったのよ」

美智恵は笑顔でおキヌに話しながらも料理を続ける


「はあ…」

おキヌが不思議そうに美智恵を見る中で朝食が出来上がり、美智恵は令子を起こしに行く


おキヌはシロとタマモを起こして、６人で朝食になる


「ママ…　どうしたの…　突然…？」

令子は眠いので、微妙に不機嫌だ


「規則正しい生活をしなきゃだめよ？　もう大人なんだから…　最近忙しかったからね～　たまには一緒に朝食をと思ったのよ」

美智恵は笑顔で令子に軽く説教をして朝食を食べ始める


そんな中、シロは元気よく朝食を食べているが、タマモは無表情で朝食を食べ始める


（何しに来たのかしら…？）

タマモは美智恵の意図を考えながら無表情で朝食を食べていく