２人はそんな想いを抱えつつ一緒に夕食をとり、時間を共にする



その頃、魔鈴の店の外ではまだチンピラの車が居座って監視していた

「兄貴、もう帰りましょうよ～　店も閉まってだれも出て来ませんぜ？」

チンピラは後ろに乗る男に疲れたように話しかける


「ああ、今日は帰るか」

後ろの男が不機嫌そうに答えると車は去っていく


「行ったな…　カメラ取り上げなくて良かったのか？」

雪之丞はクロサキに聞いた


「ヤクザは難しいんですよ。　非合法集団ですからね。　ヘタに圧力かければ、問題があちこちに飛び火します。　後は美神美智恵の監視と、魔鈴さんとシロ君とタマモ君の護衛を増やすしか無いでしょう」

クロサキは淡々と雪之丞に説明していく


「あんた本当にサラリーマンか？」

雪之丞は不思議そうに見るが、クロサキは不敵に笑うだけである


ここまでくると、美智恵にゆく情報をコントロールするのは難しい

ましてヤクザは自分達の世界の繋がりが強く、百合子や大樹は関係が薄い


警察などに頼んで圧力をかける方法はあるが、すでに動き出している連中は複数いる為、全ての情報をコントロールするのは無理だと判断していた



そして、その日の美智恵は…

「そう…　わかりました。　ありがとうございます」

美智恵は何処からかの電話を切り顔をしかめる

「大学の件は失敗か…　彼女の性格なら、よりいい魔法の研究環境をエサにすれば食いつくと思ったのに……」

美智恵はそう呟き次の手段を考える


「こうなったら横島君の方も揺さぶりをかけなきゃだめね…」

美智恵はそう呟き、再び何処かに電話する



その頃横島と魔鈴は…

夕食を終えた後、お風呂に入ってリビングでゆっくりしていた横島に、魔鈴はワインを持って来た

「横島さん、眠れないでしょうから少し飲みませんか？」

魔鈴は横島座っているソファーの隣に座り、グラスにワインを注ぎ横島に渡した

横島は風呂上がりの魔鈴が隣に座り、ぼーっと見とれている

まだ乾ききってない髪と、魔鈴のパジャマ姿にドキドキしてしまう

「横島さん？」

ぼーっと見とれる横島に魔鈴は不思議そうに声をかける


「はい？」

　
横島は思わず緊張さたような上擦った声で返事をする


「大丈夫ですか？　また苦しいですか？」

魔鈴は心配しながら横島に近寄り手を握る


「あっ…　いや…　そっちじゃなくて…」

横島は慌てて誤魔化す

まさか見とれてたなんて言えない


「本当に大丈夫ですか？」

魔鈴は様子がおかしい横島に不安を感じ抱きしめる

魔鈴はまさか横島が見とれていたとは思いもよらない

昨日の夜の不安がまだ残る魔鈴は、横島の苦しみを消すように抱きしめていた


「いや…　あの…　本当に大丈夫っす。　魔鈴さんを見てただけですから…」

横島は顔を真っ赤にしながら、口をパクパクさせてようやく話した


横島の姿は魔鈴と同じパジャマである

魔鈴が横島用に用意した物


お互いパジャマの横島と魔鈴は、普段よりも薄着な為

お互いの温もりをモロに感じている


湯上がりの魔鈴の色気と温もりは、横島には刺激が強すぎるが


魔鈴は不安と心配が大きかった為、そこまで意識して無かった

そして横島の言葉に少し離れて不思議そうに見る


「横島さん…？」

魔鈴はようやく横島の顔が真っ赤なのに気がつく


（横島さん…、私を意識してるの？）

それは魔鈴にとって嬉しい反応である

横島も自分を女として見てる


その事実に魔鈴は幸せを感じてしまう