番外編・動き出す心
一方彼女の方も困惑気味で動けなかった
罠かもしれないし罠じゃなくても不思議な人間を前に、動きたくても動けない
正体を知られてるにも関わらず警戒もされない現状は、彼女にとってより危険な現状とも言える
横島には全くそのつもりがなくても、何かしらの罠や裏があると疑いたくなる状況なのだ
そんな彼女の前で横島はカップうどんを食べはじめる
正直どうしていいかわからない横島は、出来るかぎり普通の態度で居るしかない
「ん? どうした?」
カップうどんを食べた始めた横島だが、彼女の視線が変わった事に気付く
その視線は横島ではなくカップうどんに向いているのだ
横島が声をかけると無視するようにソッポを向くが、やはり気になるようでチラチラとカップうどんを見ている
「うどんが食いたいのか?」
彼女の様子に少し考えた横島は、食べかけのカップうどんをそのまま近くに置いてやることにした
そんな横島の態度に彼女は再び警戒心を露にして唸るが、それでもカップうどんが気になるらしく葛藤する
横島はそんな彼女を無視するかのように、違うカップうどんにお湯を入れていく
葛藤がどれだけだったかわからないが、横島が視線を離した隙に彼女はカップうどんの油揚げを食べ始めた
静かな部屋でピリピリした空気の中で無言のままカップうどんを食べる一人と一匹の姿は、誰かが見たら不思議なものだと言うだろう
「もう一つ食うか?」
食べ終えた彼女に横島は新しいカップうどんを見せるが、その瞬間彼女の体が光りに包まれる
「馬鹿にするなー! このままじゃ妖力がなくなるから、あえて食べてやっただけなんだからっ!! 人間なんか大嫌いだ!!」
変化した彼女の姿は、見た目中学生くらいの美しい少女だった
突然の事に驚く横島の前で、彼女は今にも飛び掛かりそうな勢いである
「お前名前は?」
「えっ……!? タ…タマモ……」
自分の怒りや憎しみをまるで気にしない横島の態度に、タマモは思わず素直に名前を答えていた
(こいつ馬鹿なの?)
この状況や怒りや憎しみを理解出来ないほど相手が馬鹿なのか疑いたくなるほど、横島の態度はタマモにとって不思議だった
「今度はヘマすんなよ。 人間は怖いからな」
ニヤニヤと軽い調子で笑って話す横島の様子は、タマモから見たらやはり馬鹿に見えるだろう
「いまさらいい奴面するなー!!」
横島の不思議な態度は、とうとう溜まりに溜まったタマモの怒りに火をつけてしまう
横島に幻術で幻を見せると、タマモはそのまま逃げるように部屋から出て行く
「人間は敵だわ! 復讐してやる!!」
部屋を後にしたタマモは、込み上げて来る怒りや憎しみを抑えられなかった
前世などどうでもいいが、静かに暮らしていた自分を殺そうとした事は許せない
(………)
この時タマモはふと後ろを振り返り、横島の部屋に視線を向ける
馬鹿で不思議な人間が、何故か少し気になった
しかし次の瞬間にはタマモは走り出している
何故か横島が少し気になったが、今のタマモは怒りや憎しみで冷静ではなかったのだ
この時タマモが冷静だったら、気付いていたかもしれない
この出会いが運命を変えるほど大きな出会いである事に……
そして金毛白面九尾の新たな伝説の始まりだった事に……
罠かもしれないし罠じゃなくても不思議な人間を前に、動きたくても動けない
正体を知られてるにも関わらず警戒もされない現状は、彼女にとってより危険な現状とも言える
横島には全くそのつもりがなくても、何かしらの罠や裏があると疑いたくなる状況なのだ
そんな彼女の前で横島はカップうどんを食べはじめる
正直どうしていいかわからない横島は、出来るかぎり普通の態度で居るしかない
「ん? どうした?」
カップうどんを食べた始めた横島だが、彼女の視線が変わった事に気付く
その視線は横島ではなくカップうどんに向いているのだ
横島が声をかけると無視するようにソッポを向くが、やはり気になるようでチラチラとカップうどんを見ている
「うどんが食いたいのか?」
彼女の様子に少し考えた横島は、食べかけのカップうどんをそのまま近くに置いてやることにした
そんな横島の態度に彼女は再び警戒心を露にして唸るが、それでもカップうどんが気になるらしく葛藤する
横島はそんな彼女を無視するかのように、違うカップうどんにお湯を入れていく
葛藤がどれだけだったかわからないが、横島が視線を離した隙に彼女はカップうどんの油揚げを食べ始めた
静かな部屋でピリピリした空気の中で無言のままカップうどんを食べる一人と一匹の姿は、誰かが見たら不思議なものだと言うだろう
「もう一つ食うか?」
食べ終えた彼女に横島は新しいカップうどんを見せるが、その瞬間彼女の体が光りに包まれる
「馬鹿にするなー! このままじゃ妖力がなくなるから、あえて食べてやっただけなんだからっ!! 人間なんか大嫌いだ!!」
変化した彼女の姿は、見た目中学生くらいの美しい少女だった
突然の事に驚く横島の前で、彼女は今にも飛び掛かりそうな勢いである
「お前名前は?」
「えっ……!? タ…タマモ……」
自分の怒りや憎しみをまるで気にしない横島の態度に、タマモは思わず素直に名前を答えていた
(こいつ馬鹿なの?)
この状況や怒りや憎しみを理解出来ないほど相手が馬鹿なのか疑いたくなるほど、横島の態度はタマモにとって不思議だった
「今度はヘマすんなよ。 人間は怖いからな」
ニヤニヤと軽い調子で笑って話す横島の様子は、タマモから見たらやはり馬鹿に見えるだろう
「いまさらいい奴面するなー!!」
横島の不思議な態度は、とうとう溜まりに溜まったタマモの怒りに火をつけてしまう
横島に幻術で幻を見せると、タマモはそのまま逃げるように部屋から出て行く
「人間は敵だわ! 復讐してやる!!」
部屋を後にしたタマモは、込み上げて来る怒りや憎しみを抑えられなかった
前世などどうでもいいが、静かに暮らしていた自分を殺そうとした事は許せない
(………)
この時タマモはふと後ろを振り返り、横島の部屋に視線を向ける
馬鹿で不思議な人間が、何故か少し気になった
しかし次の瞬間にはタマモは走り出している
何故か横島が少し気になったが、今のタマモは怒りや憎しみで冷静ではなかったのだ
この時タマモが冷静だったら、気付いていたかもしれない
この出会いが運命を変えるほど大きな出会いである事に……
そして金毛白面九尾の新たな伝説の始まりだった事に……