その一
それはいつもと同じ朝のはずだった
横島の眠りを覚ましたのは近くで動く人の気配である
(誰だ? シロか?おキヌちゃんか?)
朝から尋ねて来そうな人を思い浮かべて目を開けた横島だが、その瞳は予想外の景色で驚きに満ちていた
「ここは何処だ?」
そこは横島のアパートではなかった
美神事務所でもないし、横島が知っている人の部屋でもない
「新手の嫌がらせか……」
「ヨコシマー!! 朝でちゅよー」
知らない部屋に居る理由を考えていた横島に、凄まじいスピードで飛び込んで来たのはパピリオである
「ぐうぇっ!?」
その勢いに意識が飛びそうになる横島に気付かぬパピリオは、楽しそうに横島を起こそうとしていた
「ヨコシマ、起きないとルシオラちゃんに怒られるでちゃよ」
意識が朦朧とする横島を起こそうとするパピリオが言った言葉に、横島の表情は一瞬で変わる
「パピリオ……、お前何を……」
状況が掴めぬまま顔色が真っ青になる横島をパピリオは不思議そうに見つめるが、次の瞬間その表情は更に変わることになる
「ヨコシマ、早く起きてよ! 今日はクリスマスだから遊びに行く約束でしょ!?」
扉の向こうから呼ぶその声に、横島は心臓が痛くなるくらいに鼓動が高まった
(そんな……)
信じられない、いやありえない声
忘れようとしても忘れられない愛しい声に、体は金縛りのように固まってしまう
「ルシオラちゃん、横島が変でちゅ!」
さすがのパピリオも横島の様子がおかしい事に気が付き、心配そうに声をかける
しかし横島は目の前に居るパピリオにすら、声が出なかった
「もう~、どうしたの?」
エプロン姿のルシオラは、起きて来ない横島に若干不機嫌そうな表情で寝室に入って来る
「ルシ…オ…ラ……」
その姿を見ただけで横島は涙が止まらなかった
ありえない現実とわかっていても、彼女の姿を見ただけで涙が止まらない
「えっ!?」
突然涙を流す横島に、ルシオラとパピリオは理由もわからず困惑してしまう
「ちょっと、ヨコシマ大丈夫?」
具合が悪いのだろうかと心配になり駆け寄るルシオラに、横島は涙を流すのみである
「うわーー!!!」
ルシオラが心配そうに額に手をあてた瞬間、横島はルシオラに抱き着いて大泣きしまう
その声も魂も温もりも、横島には本物のルシオラだと感じていた
夢かもしれないし幻かもしれない
でも……
今だけは、全てを忘れて彼女を感じたかった
それからどれくらい時間が過ぎただろうか
ルシオラは泣きやまない横島をずっと抱きしめている
そして周りではパピリオとベスパが、どうしていいかわからないような表情でそんな横島とルシオラを見つめていた
「ヨコシマ、大丈夫?」
ようやく横島が落ち着き始めた頃、ルシオラは訳も聞かずに優しく声をかける
「ルシオラ……、あっ……愛してる。 ずっと言いたくても言えなくて……」
「ヨコシマ!?」
泣き止んだと思ったら突然告白されたルシオラは、顔を真っ赤にして驚く
「夢を見てたんだ…… 悲しい夢をさ」
ルシオラと同じく顔を真っ赤にしているベスパとパピリオに、横島は小さくつぶやく
何が真実で何が現実でも関係ない
横島にとっては彼女がそこに居るだけが全てだった
それだけが横島の真実……
横島の眠りを覚ましたのは近くで動く人の気配である
(誰だ? シロか?おキヌちゃんか?)
朝から尋ねて来そうな人を思い浮かべて目を開けた横島だが、その瞳は予想外の景色で驚きに満ちていた
「ここは何処だ?」
そこは横島のアパートではなかった
美神事務所でもないし、横島が知っている人の部屋でもない
「新手の嫌がらせか……」
「ヨコシマー!! 朝でちゅよー」
知らない部屋に居る理由を考えていた横島に、凄まじいスピードで飛び込んで来たのはパピリオである
「ぐうぇっ!?」
その勢いに意識が飛びそうになる横島に気付かぬパピリオは、楽しそうに横島を起こそうとしていた
「ヨコシマ、起きないとルシオラちゃんに怒られるでちゃよ」
意識が朦朧とする横島を起こそうとするパピリオが言った言葉に、横島の表情は一瞬で変わる
「パピリオ……、お前何を……」
状況が掴めぬまま顔色が真っ青になる横島をパピリオは不思議そうに見つめるが、次の瞬間その表情は更に変わることになる
「ヨコシマ、早く起きてよ! 今日はクリスマスだから遊びに行く約束でしょ!?」
扉の向こうから呼ぶその声に、横島は心臓が痛くなるくらいに鼓動が高まった
(そんな……)
信じられない、いやありえない声
忘れようとしても忘れられない愛しい声に、体は金縛りのように固まってしまう
「ルシオラちゃん、横島が変でちゅ!」
さすがのパピリオも横島の様子がおかしい事に気が付き、心配そうに声をかける
しかし横島は目の前に居るパピリオにすら、声が出なかった
「もう~、どうしたの?」
エプロン姿のルシオラは、起きて来ない横島に若干不機嫌そうな表情で寝室に入って来る
「ルシ…オ…ラ……」
その姿を見ただけで横島は涙が止まらなかった
ありえない現実とわかっていても、彼女の姿を見ただけで涙が止まらない
「えっ!?」
突然涙を流す横島に、ルシオラとパピリオは理由もわからず困惑してしまう
「ちょっと、ヨコシマ大丈夫?」
具合が悪いのだろうかと心配になり駆け寄るルシオラに、横島は涙を流すのみである
「うわーー!!!」
ルシオラが心配そうに額に手をあてた瞬間、横島はルシオラに抱き着いて大泣きしまう
その声も魂も温もりも、横島には本物のルシオラだと感じていた
夢かもしれないし幻かもしれない
でも……
今だけは、全てを忘れて彼女を感じたかった
それからどれくらい時間が過ぎただろうか
ルシオラは泣きやまない横島をずっと抱きしめている
そして周りではパピリオとベスパが、どうしていいかわからないような表情でそんな横島とルシオラを見つめていた
「ヨコシマ、大丈夫?」
ようやく横島が落ち着き始めた頃、ルシオラは訳も聞かずに優しく声をかける
「ルシオラ……、あっ……愛してる。 ずっと言いたくても言えなくて……」
「ヨコシマ!?」
泣き止んだと思ったら突然告白されたルシオラは、顔を真っ赤にして驚く
「夢を見てたんだ…… 悲しい夢をさ」
ルシオラと同じく顔を真っ赤にしているベスパとパピリオに、横島は小さくつぶやく
何が真実で何が現実でも関係ない
横島にとっては彼女がそこに居るだけが全てだった
それだけが横島の真実……
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