その一

再び横島が作ったお粥を食べるメドーサ

作ったばかりなので昨日よりは食べれるが、決して美味い訳ではないそのお粥を無言のまま食べていた


「なあ、体調大丈夫なら俺帰りたいんだが… 学校行かなきゃダメだし、バイト行かなきゃ生活が出来ないんだ」

恐る恐るメドーサの様子を窺う横島

素直に帰してくれるとは思わないが、さすがに今日は帰らなきゃマズいようである


「……好きにしな。 ただし、あたしに会ったこと誰にも言うんじゃないよ。 厄介事はごめんだからね」

横島の顔を見ることなくメドーサはそう告げた

(あたしも馬鹿だね。 言うなと言われて黙ってる訳無いだろうに…)

このまま横島を帰せば、近いうちにGSか神族が来るだろう

それがわかっていながら、メドーサは横島を殺す気が起きなかった


「そっか~ サンキューな! じゃあ俺帰るわ。 バイト終わったら様子見に来るから無理しないで寝てろよ」

慌てた様子の横島は、時計を見ながらバタバタと帰っていく

メドーサはそんな横島の後ろ姿を複雑そうな表情で見つめていた


「夜にはGSがあたしを捕らえに来るのか…」

きっと令子が自分を退治しにやって来る

そう確信するメドーサは、何故か理由のわからない胸の痛みを感じた

今までどんな時でもこんな気持ちは感じたことが無い、不思議な痛みにメドーサはそのまま時が過ぎるのを待っていた



そしてその日の深夜


ピンポーン


「やっと来たね。 これであたしは元に戻れる」

ずっと抱えていた理由のわからない胸の痛みから、ようやく解放されるとメドーサは思った

再び敵として横島と殺し合えば全てが元に戻る

そう確信してメドーサはリビングで横島を待つ



「おーい、メドーサ? 寝てるのかー?」

そして真っ暗な室内に横島は入って来る

電気のスイッチを探しつつリビングに入ると…


「うわっ!? 起きてたのかよ? 電気くらい点けろよな~ びびったじゃねえか…」

暗闇の中に光るメドーサの目を見て、横島は驚き冷や汗を流してしまった


「さあ、かかってきな!」

横島の軽い調子も、全てはフェイクだとメドーサは思った

すぐに令子が何処からか現れるだろうと予想して、横島の攻撃を待つ


「なにっ!? んじゃ遠慮無く! いただきまーす!」

暗闇の中でかかって来いと言われたら、横島の考える事は一つである

煩悩全開にしてメドーサに飛びかかった


「えっ!? いただきます…??」

予想外の言葉にメドーサは混乱してしまう

そんなメドーサの混乱が収まる前に横島がメドーサに抱き付いて来た


「メドーサ!」

「やめんか! 変態! 意味が違うわ!!」


バキッ!!


1人盛り上がってメドーサの胸を揉む横島をメドーサが殴った


「痛てえな~ 自分から誘っておいてそれは無いだろ~」

殴られた頭を押さえながら横島が抗議するが、メドーサは意味がわからない


「お前は何処までバカなんだい! あたしは魔族なんだよ! 退治に来たんじゃないのかい!」

意味のわからないメドーサが正論を言うが、今度は横島がメドーサの言葉の意味を理解出来ない


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