その一
月曜日、令子は唐巣の教会を訪れていた
特に用事があった訳では無かったが、いろいろ溜まってるモノがあり誰か話し相手を求めた結果、自然と唐巣の教会に来てたのだ
「全く…、男って奴はどいつもこいつも……」
ぶつぶつと文句をつけていく令子の話を、唐巣は静かに聞いている
(うむ… 横島君が美神君の事務所を辞めそうだとピート君が言っていたが、本当に辞めるとは…)
令子の愚痴を嫌な顔一つせずに聞いていた唐巣だが、横島が辞めたのは驚きであった
良くも悪くも令子に付き合えるのは横島くらいだろうと思っていたし、本人達は意識してなかったかもしれないが意外といいコンビになりそうだと思っていたのだから
「西条さんも、口では良いこと言う割には女にだらし無いのよね~」
元々横島の件でかなりストレスが溜まっていた令子にトドメを刺したのが昨日の西条の件だったようで、横島に対しての愚痴を散々語った次には西条の愚痴になっていた
「私は恋愛は良くわからないが…、西条君は独身だろう? 自由に恋愛していいと思うよ」
あまりの悪口にそれとなく西条をフォローする唐巣だが、その言葉が令子を余計にイラつかせる
「先生も男なのね! 女にだらし無いのを認めるなんて!」
「美神君、人は誰でも長所と短所がある。 長所を見ないで短所だけを批判してはダメだ」
自分にまで怒りを向ける令子に、唐巣は冷静に語っていた
「だから男は信用出来ないのよ!」
「美神君…」
全く話を聞かない令子に、唐巣は困ったように言葉が出なくなる
西条の女性関係は知らないし問題かもしれないが、それは令子には関係無いはずなのだ
そもそも都合のいい時だけ頼る令子にも問題があると思う
(横島君が辞めた事が、かなり堪えてるようだね)
怒りと苛立ちを八つ当たりする令子の姿に、唐巣は想像以上に令子が弱っていると感じていた
愚痴が多いのは西条の方だが、西条は前から変わってない
変わったのは横島が去った令子の方だと、唐巣は見抜いていた
「美神君、君は自分の気持ちを良く考えるべきだと思う。 何故そんなにイライラしてるのかね? 西条君の女性関係は以前から聞いていたのだろう? それに横島君が辞めた件も、どうでもいいと話す割には熱くなってる気がするが…?」
冷静に子供に言い聞かせるように語る唐巣だが、令子はムスッとしたまま無言になるだけである
(結局、自分が一番で無ければ気が済まないのだろうね)
プライドの塊のような令子の性格の悪い部分に、唐巣はどうアドバイスするべきか悩んでしまう
相手が常に自分を一番に見て、チヤホヤしないと気が済まない性格なのだ
そもそも令子は相手は束縛するが、自分は束縛されるのを酷く嫌がる
ワガママと言うか不器用と言うか、かなり気難しい人間なのだ
(まさか横島君に美神君の側に居るようにも言えないし…)
解決策の無い問題に唐巣は頭を悩ませる
横島には横島の人生があり、他人が何かを言うことは出来ない
問題は令子一人の問題な為、本人が成長するか新しく気の合う存在を見つけるしかないのだった
(しばらくは私が被害者か……)
現状を総合的に考えると、令子の愚痴や怒りのやり場が自分になりそうな現実に唐巣は胃が痛くなる気がした
特に用事があった訳では無かったが、いろいろ溜まってるモノがあり誰か話し相手を求めた結果、自然と唐巣の教会に来てたのだ
「全く…、男って奴はどいつもこいつも……」
ぶつぶつと文句をつけていく令子の話を、唐巣は静かに聞いている
(うむ… 横島君が美神君の事務所を辞めそうだとピート君が言っていたが、本当に辞めるとは…)
令子の愚痴を嫌な顔一つせずに聞いていた唐巣だが、横島が辞めたのは驚きであった
良くも悪くも令子に付き合えるのは横島くらいだろうと思っていたし、本人達は意識してなかったかもしれないが意外といいコンビになりそうだと思っていたのだから
「西条さんも、口では良いこと言う割には女にだらし無いのよね~」
元々横島の件でかなりストレスが溜まっていた令子にトドメを刺したのが昨日の西条の件だったようで、横島に対しての愚痴を散々語った次には西条の愚痴になっていた
「私は恋愛は良くわからないが…、西条君は独身だろう? 自由に恋愛していいと思うよ」
あまりの悪口にそれとなく西条をフォローする唐巣だが、その言葉が令子を余計にイラつかせる
「先生も男なのね! 女にだらし無いのを認めるなんて!」
「美神君、人は誰でも長所と短所がある。 長所を見ないで短所だけを批判してはダメだ」
自分にまで怒りを向ける令子に、唐巣は冷静に語っていた
「だから男は信用出来ないのよ!」
「美神君…」
全く話を聞かない令子に、唐巣は困ったように言葉が出なくなる
西条の女性関係は知らないし問題かもしれないが、それは令子には関係無いはずなのだ
そもそも都合のいい時だけ頼る令子にも問題があると思う
(横島君が辞めた事が、かなり堪えてるようだね)
怒りと苛立ちを八つ当たりする令子の姿に、唐巣は想像以上に令子が弱っていると感じていた
愚痴が多いのは西条の方だが、西条は前から変わってない
変わったのは横島が去った令子の方だと、唐巣は見抜いていた
「美神君、君は自分の気持ちを良く考えるべきだと思う。 何故そんなにイライラしてるのかね? 西条君の女性関係は以前から聞いていたのだろう? それに横島君が辞めた件も、どうでもいいと話す割には熱くなってる気がするが…?」
冷静に子供に言い聞かせるように語る唐巣だが、令子はムスッとしたまま無言になるだけである
(結局、自分が一番で無ければ気が済まないのだろうね)
プライドの塊のような令子の性格の悪い部分に、唐巣はどうアドバイスするべきか悩んでしまう
相手が常に自分を一番に見て、チヤホヤしないと気が済まない性格なのだ
そもそも令子は相手は束縛するが、自分は束縛されるのを酷く嫌がる
ワガママと言うか不器用と言うか、かなり気難しい人間なのだ
(まさか横島君に美神君の側に居るようにも言えないし…)
解決策の無い問題に唐巣は頭を悩ませる
横島には横島の人生があり、他人が何かを言うことは出来ない
問題は令子一人の問題な為、本人が成長するか新しく気の合う存在を見つけるしかないのだった
(しばらくは私が被害者か……)
現状を総合的に考えると、令子の愚痴や怒りのやり場が自分になりそうな現実に唐巣は胃が痛くなる気がした