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その一

「横島…、頼むからもう少しだけ常識とプライドを持ってくれ…」

ぐったりしたメドーサに常識を説教される横島だが、やはりピンと来ない


「いや、俺は常識はあるつもりなんだが… まあプライドは無いけど」

価値観と言うにはあまりに大きな差に、横島自身は不思議そうに首を捻るばかりである


そもそも横島にプライドなんて価値観は無い

この世で自分ほど信じられない存在は無いとかつての横島は言ったが、まさにそのままであった


「とりあえず、今日は普通に弁当でも買って食べな」

朝から疲れた表情のメドーサは、最早言葉による説得は諦めている

(まともな価値観の生活を経験させるしか無いね…)

頭と体に、常識とプライドを経験させて覚えさせるしかないとメドーサは思う


「おう、じゃあ行っ来る」

時計を確認した横島は少し慌てた様子でメドーサのマンションを後にする



その頃、美神令子は横島の高校の正面入口の前で、電信柱に隠れながら横島が来るのを待っていた


「横島のヤツ早く来なさいよ! 今日と言う今日は徹底的に教育してやるわ!!」

嫉妬の炎を燃やす令子の姿に、通行人や横島の高校の生徒は見て見ぬふりをして足早に先を急ぐ


「あれは…」

そんな令子の後ろ姿を見てさっと隠れたのはピートである

(何故美神さんが…? 裏門に行こう)

怪しげな気配を撒き散らしている令子の姿に、ピートはゆっくりと裏門に逃げてゆく

ピートより少し遅れて、同じく令子を知るタイガーも無言で裏門へ行ったのは言うまでも無い



「ヤバい! 遅刻するーー!!」

それからしばらくして1時間目の授業が始まる寸前、学校近くのコンビニを慌てて出る横島の姿があった


メドーサのマンションから横島の高校は結構距離がある

横島はそこを考えて早めにマンションを出たのだが、途中コンビニで昼食に何を食べるかで悩み時間を浪費していた


「クッ… めったに無い贅沢だと思ったら時間がかかっちまった」

時計に目をやり走る横島だが、どうかんがえても間に合わない


「文珠ー!!」

横島は出席日数を確保する為、最終手段として文珠を使う

【飛】の文字を込めて学校まで飛んでいく
 
そして幸か不幸か横島は、令子が待ってる入口と関係無く上空を飛んで学校に入ってしまった



一方、1時間目の始まる鐘が鳴った後も横島は現れないことに令子はイライラを募らせていく


「よ~こ~し~ま~」

嫉妬とイライラで爆発寸前な令子は危ない表情のまま、横島が来るのを待ち続ける

結局令子がその場を離れたのは10時過ぎであった

もしかしたら横島が事務所に来るかもしれないと思った令子は、嫉妬とイライラと徹夜の疲れで別人になったような表情のまま事務所に戻っていくことになる

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