その一

一方令子や西条が見てるとも知らずに、横島とメドーサは普通にアトラクションを楽しんでいた


「うーん、本当にメドーサかい? 僕には普通にデートしてるカップルにしか見えんが…」

メドーサを直接見たことない西条は半信半疑である

月での一件で死んだはずのメドーサが生きていて、横島とデートしてるなど普通に考えたら有り得ないのだ


「確かに見鬼くんも反応しないけど、あの顔は忘れないわ! まあ、若返ったはずなのに年増に戻ってるけど…」

令子自身もメドーサに違いないと思うのだが、イマイチ確証がないため動けない



そんな中、横島とメドーサは相変わらずの調子でデジャブーランドを楽しんでいく

談笑しながらいろいろなアトラクションに乗って行く二人をただ見ている令子と西条

しかし次第に令子の機嫌が悪化していた


「あの野郎~ 私が仕事してる間に楽しそうにするなんて生意気な!」

ゴゴゴゴー!!

ピリピリとした殺気を周囲にに振り撒きながらムスッとする令子に、西条は冷や汗を流しながら困り果てていた


「れっ、令子ちゃん。 そろそろ仕事に戻らないと… 早くボガートの原因を探さないと……」

とりあえずこの場から離れたい西条は、令子の様子を伺うように言い出す


ギロッ!!


「なんか言ったかしら… 生意気な横島をシバく以上に大切なことあるの?」

最早怒りで正常な判断が出来ない令子は、溜まりに溜まった怒りを西条に向ける


「ヒィッ!? じゃあ…、僕がボガートを探しに行くから、令子ちゃんは横島君を…」

ゆっくり後ろに下がり、西条は一刻も早くこの場から逃げだそうとするのだが…


「私達仲間よね。 まさか私を置いて行かないわよね」

いつの間にか令子は西条の両肩をがっしりと掴み、黒い笑みを浮かべる


「もっ… もちろんじゃないか~ 僕はいつも令子ちゃんが一番だよ!」

冷や汗をダラダラ流しながら、渇いた笑いを浮かべる西条は心の中で横島を恨んでいた



「ママー あの人達なにやってるのー?」

近くでアイスを食べていた小さな子供が、そんな令子と西条を指差して不思議そうに母親に聞いている


「マリちゃん見ちゃダメよ! 大人はいろいろあるんだからっ」

母親は令子と西条から逃げるように子供を抱き抱えて走っていく

そして令子と西条の周りだけ誰も居なくなり、まるで別世界のような風景である



その頃、横島とメドーサはお昼を食べていた

「スゲーな~ 細かいとこまでマッキーキャットのデザインだよ」

レストラン内部もマッキーキャットなどのグッズであふれており、横島は珍しそうにキョロキョロしていた


「なんかさっきから影から視線を感じるね…」

一方メドーサは少し前から妙な視線を感じて警戒している


「視線…? メドーサの胸でも見てるんだろ~ そんだけデカいと珍しいからな~」

メドーサの姿はかつての露出の多い姿では無いが、それでもメドーサの胸は目立っていた

事実、メドーサに見とれる男達は多いのだが、横島がそのつど相手を睨んで近寄ってこないようにしている

まあ、横島の場合はメドーサの胸は自分のモノだと言う妙な独占欲から睨んでいただけだが…


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