その一

横島と魔鈴が話しているうちに、サンタクロースと雪だるまは横島達に迫る


「横島さん、元はと言えば私がしっかり説明しなかったのが悪いんです。 逃げて下さい!」


魔鈴は横島に微笑んでサンタクロースに向かって走っていった


だが魔鈴はホウキも持ってなく


戦うのも難しかった…


「魔鈴さん……」


横島は人に命をかけて守られるのは初めてだったかもしれない……


いつもは令子が横島を囮にして逃げていた

悪びれることもなく、当たり前のように……

たまたま生き残ってこれたが、その恐怖と危険さは横島が一番理解していた


そんな環境の横島にとって魔鈴の優しさは心にしみていた


そして走りゆく魔鈴を見ていると

恐怖や混乱が消えていた……


(この場所で、俺が守らないで… 誰が魔鈴さんを守るんだ……?)


横島は見たこともない真剣な顔つきになっていた…


横島は走り出した


魔鈴を守るために…

「魔鈴さーん!!」

横島は文珠を作った

文字は【爆】


「横島さん!? 逃げて下さい!!」

魔鈴は驚いて横島に叫ぶが、横島は逃げない


「ウォォォー」

横島はサンタクロースと雪だるまの一団に文珠を投げた!


ドッカーーーン!


サンタクロースは逃げたが、辺りの雪だるまが吹っ飛んで道が出来ていた


「魔鈴さん!! こっちです!」


横島は魔鈴の手を握り雪だるま達の包囲網を脱出した


「横島さん…」


魔鈴は驚いていた


横島の表情がいつもと全く違っていた


いつもヘラヘラして、セクハラばかりの横島が全く違う


男の顔になっていた


(こんな表情も出来るんですね…)


魔鈴は横島の温かい手と表情に驚いて見つめていた


横島は魔鈴を助ける為、必死に走っていた



すると行く先では、雪だるまに囲まれた雪之丞とかおりとタイガーと魔理がいた


「横島! 助けに来たのか!」

雪之丞が叫ぶが


「すまん、こっちも逃げてきたんだ!!」

横島は雪之丞に謝った

「馬鹿やろう! こっちも限界だぞ!」
横島達は崖に追い詰められていた


そして
タイガーは魔理を抱えてて守って

雪之丞は自然とかおりを庇っている


横島は魔鈴を庇い雪だるまと対峙した


横島の頭にあるのは魔鈴を守る…


そのことだけだった

「魔鈴さん… これを…」

横島は最後の文珠を魔鈴に渡した



魔鈴は自分も戦おうとするが、出来なかった…

横島が力強く魔鈴を引っ張り守っていたから…


横島の力強さと、自分を庇う大きな背中に、魔鈴は心地よさを感じていた


魔女である魔鈴は、ここまで守ってもらったことは無かった…


(横島さん…)

危機的状況なのに、魔鈴に不安は無かった


そんな時、横島に文珠を渡された

「横島さん…?」

魔鈴は不思議そうに横島に聞く


「大丈夫っすよ。 魔鈴さんは俺が守ります…」

横島は優しく魔鈴に微笑んだ


横島は雪之丞を見た

「雪之丞… 後を頼む」


横島はそのまま…

サンタクロースに走って行った!


せめて、サンタクロースを倒せば…


横島は栄光の手を霊波刀に変えて、サンタクロースに斬りかかる!


「イヤ~!! 横島さん!!」

「「「「横島っ(さん)!!」」」


魔鈴は悲鳴にも似た叫びをあげる

雪之丞達は驚いて横島を呼ぶ!!



横島の霊波刀はサンタクロースの斧と斬り結ぶ


(せめて… こいつさえ片付ければっ……!!)


横島は何も考えられなかった…


自分を守ろうとしてくれた魔鈴を守りたい…

その気持ちだけだった……


その時…


サンタクロースと雪だるまは止まった

「我らの役目は終わった…」


そして横島は…


倒れ込んだ…


「横島さん!!」

魔鈴は横島に駆け寄って横島を抱き起こした


「横島は無事か!?」

雪之丞達も魔鈴と横島にかけよる


「横島さんは気を失ってるだけです… 良かった… 本当に良かった……」

魔鈴は気絶した横島を抱きしめて涙を流していた…



そして空間が歪み…
その場に窓が現れた


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