その一

次の日
横島は風邪をひいていた……


「もしもし、魔鈴さん。 ちょっと風邪ひいたみたいなんで今日は休みます。 すいませんバイト初日に…」


横島は魔鈴に電話して、布団に入って寝込んだ


昼頃……

横島はいい匂いに目を覚ます

「う…ん 誰かいるのか?」

横島が寝ぼけながら言った

「横島さん? 大丈夫ですか? お粥が出来てますよ」

魔鈴が心配そうに覗き込む

「あれ? 魔鈴さん? 店はどうしたんですか?」

横島は驚き目を見開いた

「横島さんが心配だから、店を閉めて看病にきたんですよ」
魔鈴は横島の額に手を当てて熱を確認する

魔鈴の手は冷たくて気持ちよかった


「うーん、まだ熱ありますね。 お粥を食べて私が作った薬飲んで下さい。」


横島はヨロヨロ起き上がりお粥と薬を食べた


「魔鈴さん昨日から迷惑かけてばかりですいません…」


「なんかほっとけないんですよね~ 元気になったら店手伝って下さいね」

魔鈴は優しく微笑んだ


横島は薬の効果か眠気がきて、そのまま寝てしまった


結局その日1日
魔鈴に看病してもらっていた


次の日から横島はすっかり元気になり
魔鈴の店を手伝っていた

横島にとっては幸せなバイトだった
毎日三食美味しいご飯が食べれて
美人と一緒に働ける

そうして
何日かバイトして明日はクリスマスイブ……

横島は自分の残りの全財産で
魔鈴にプレゼントすることにした


「どうするかな~ 俺は女の子の喜ぶ物わからないしな」

横島は悩んだがお金も無いため、手袋とマフラーとお守りにすることにした

魔鈴はよく魔法のほうきで空を飛ぶので寒くないようにと思って

お守りは中には文殊を3つ入れてみた



次の日
魔法料理魔鈴はいつもにまして忙しかった。
来る客のほとんどはカップルばかり……

横島は内心あまり面白くないが
魔鈴が笑顔で頑張ってるのを見ると、自分も笑顔になった


その日は深夜まで営業して、店が終わり後片付けが終了したら、すでに日にちが変わっていた


「横島さん せっかくのクリスマスにバイトで終わらせてしまってすいません。ちょっとイブは過ぎたけど私と一緒にお祝いしましょう」

魔鈴は微笑んで、用意していた料理を横島と二人で食べた


「いや~ 魔鈴さんと一緒に仕事出来て楽しいっすよ。 魔鈴さんの笑顔を見てるだけで俺は幸せっすから」


横島は当たり前のように話したが、魔鈴は言葉を聞いて顔を赤らめた


横島は思ったことを言っただけだが、他人が聞けば口説いてるようにしか聞こえない会話を、何の邪心もなく言っていた

(横島さんは言ってる意味をわかってるんでしょうかね?)
魔鈴は思った

横島はあの戦い以来あまりセクハラをしなくなった

以前のような奇行やセクハラがなくなれば
見た目もそれほど悪くなく
その持ち前の優しすぎる性格が目立つようになっていた


(彼の心には未だにルシオラさんがいる… 彼女のために横島は… )


「横島さん変わりましたね。 最初会った時とは別人のようですよ?」

魔鈴が微笑んみながら話した


「そうっすか? まあ、いろんな事がありましたからね… 俺はちょっと前まではただの高校生だったんですよ。 オカルトも神族も魔族もよく知らないね……」


横島は少し苦笑いしながら笑顔で話し続けた


「こんなどうしようも無い俺を、愛して命をかけてくれた、あいつにふさわしい男になりたいんです」

横島は強い眼差しで優しく話した


「私も会ってみたかったですね… ルシオラさんに… 彼女が少し羨ましいです。 そこまで深く結ばれて」


横島はここで
魔鈴にプレゼントを渡した

「あの… 魔鈴さん、たいしたもんじゃないけど、俺からのクリスマスプレゼントです。」


魔鈴は驚いた
毎日の食費に困っている横島が、わざわざプレゼントを用意してくれたからだ


「開けてみていいですか?」

魔鈴はプレゼントを開けた

魔鈴は手袋とマフラーを嬉しそうにつけた

「横島さん… 本当に嬉しいです。ありがとうございます。 あら、もう一つはお守りですね」

魔鈴はお守りを手に取り見つめた


「それは中に文殊をいくつか入れてあります。 魔鈴さんは除霊もして危険がありますからね。」

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