その一

横島はその日もナンパに失敗して、うなだれて歩いていた


「ううっ… なんで俺だけモテんのや~」

トボトボと歩く横島は丁度公園の前で気が付く


公園の中で女子高生が楽しそうにおしゃべりをしている


「こんにちわ! 僕横島! 一緒にお茶しない?」

横島は先ほどとは正反対の笑顔で女子高生をナンパする


しかし…

煩悩まみれの笑顔の横島に女子高生達は白い目を向ける


「サイテー!」

「来ないで!」

「キャー! ヘンタイ」

女子高生達は横島を睨みつけ逃げていく


「は… また失敗したな~」

横島は再びうなだれて、近くのベンチに座る


そこではどこかで見たような少女が泣いていた


「お嬢ちゃんどうした? 誰かにイジメられたか?」

横島はふと目に入った少女に話しかける


少女は驚き、涙を拭いながら隣を見た


「よ… よ…」

少女は言葉に詰まっている


「よ?」

横島は何を言うのか注意深く聞く


「横島さ~ん!!」

少女は横島に抱きつき泣いてしまう


「えっ!? 君は俺を知ってるの?」

横島は知らない少女に泣かれて、オドオドしながら話しかける

周りの人の視線が痛いが、そこは我慢して…


「私です。 魔鈴です。 魔鈴めぐみです!」

少女は泣きながら自分の名前を言う


「魔鈴さん? ……えっーー!!」

横島の驚きの声はワンテンポ遅く公園に響いた


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