その一

「小竜姫さま、メドーサがどうとかはいいんですか?」

「構いませんよ。 メドーサが証拠になるような物を残すはずもありませんし、それにだいたいの目星はついてます」

結局小竜姫のペースのままでGS試験会場にやって来た令子や横島達だったが、最早令子は呆れた様子で早々に別行動に移っていた

何か面白くないというかおかしいとは感じるが、依頼人である小竜姫に対して余計なことを言えるはずがない

どちらにしろ今回は横島は使えそうもないことから、小竜姫の好きなようにさせればいいと考えたようだ


「それと小竜姫さま…… その腕に柔らかい感触が……」

「ご迷惑ですか?」

「いえ、そんな滅相もございません。 ただ思ってた以上にあるなって」

そして肝心な横島と小竜姫だが、まるでデートのように腕を組み歩いていた

最早メドーサの件はどうでもいいと言った様子の小竜姫はとても幸せそうな笑顔を周囲に振り撒いている


「ああ、それならば今日はさらしを巻いてないからですよ。 普段は修行の邪魔になるのでさらしを巻いてるんです」

予想以上にある胸のボリュームに興奮気味の横島だが、小竜姫が日頃さらしを巻いている事実を告げると目をギンギンに輝かせて胸の谷間を覗こうとする

さすがに令子には負けるが並み以上のボリュームがそこには存在した



「よっ、横島さん!? 何故小竜姫さまと……」

そのまま試験会場を進む横島と小竜姫だが、例によって不安そうなピートとばったり会うがピートは横島と小竜姫の姿に不安を忘れるほどの驚きを見せる


「私は横島さんの応援ですよ。 横島さんには素晴らしい才能があるんです」

驚きポカーンとするピートに小竜姫はなぜか嬉しそうに横島の応援だと語るが、ピートはまさかといいたげな表情を見せてしまう


「横島さん、小竜姫さまに何かしたんですか!?」

「俺だって訳が分からねえんだよ。 なんか昨日から異様なほど優しくって」

神族のオーラのカケラもない小竜姫にピートは思わず横島が何か悪いことをしたのではと疑うが、横島も意味が分からずに戸惑ってる側なのだからどうしようもない


「私が横島さんと一緒なのはそれほど変ですか?」

その時横島を疑うような発言をしたピートに、小竜姫はいつの間にか不機嫌そうな表情になり神族のプレッシャーを辺りに放ち始める


「しょ、小竜姫さま!? せっかくなんで試験前にちょっとお茶でも行きましょうか!?」

突然のプレッシャーにピートや周りの人々は怯えた様子になり、横島が慌てて小竜姫の機嫌を取ると小竜姫は嬉しそうに笑顔を見せて二人はその場を離れていく

突然のプレッシャーから解放されたピートはたまらずその場に座り込み、小竜姫に逆らってはいけないとしみじみ感じる


(よく分からんが怒らせたら怖いのは変わらんのか……)

一方横島もまた奇妙なほど優しくなった小竜姫でも、やはり怒らせたら怖いのだと改めて実感していた

腕に伝わる柔らかい感触に時折暴走しそうになる横島だが、怒らせたら怖いという現実が横島を思い止まらせていく

下手な行動をして今までの反動が来たように冷たくなるのが怖いようである




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