その一
4月も後半の頃、横島は生まれて始めてのバイトを始めていた
「ありがとうございました~」
レジを去る客に頭を下げる横島が選んだバイトは、夕方のコンビニであった
コンビニを選んだのは、特に理由があった訳ではない
普段通うコンビニの店頭に求人募集を見つけて、面接を受けたら受かってしまったのだ
「横島さん休憩して下さい。 廃棄のお弁当よかったら食べて下さいね」
「ありがとう小鳩ちゃん」
同僚の少女の笑顔に横島は少し照れたように一息ついた
同僚の少女の名前は花戸小鳩、貧乏神に取り付かれている薄幸の少女である
「あいつも貧乏そうやな~」
横島を見てつぶやく貧乏神に、小鳩は少し苦笑いを浮かべた
「貧ちゃん、人を見た目で判断したらダメよ。 それに、横島さん優しくていい人だもの」
客が切れた隙に小声で貧に話し掛ける小鳩、人から見えない貧が相手なため、小声で話すようにしていたのだ
「小鳩にもようやく好きな男が出来たんか!?」
小鳩の微妙な表情に貧は過剰に反応してしまう
「貧ちゃん! そんなんじゃないわ。 それに貧乏神に憑かれてるなんて知れたら嫌われるもの」
少し顔を赤らめた小鳩は、すぐに寂しそうにうつむく
「小鳩……」
貧は涙を浮かべて小鳩を励まそうとするが、小鳩は逆に笑顔で貧を元気づけていく
その頃、横島は弁当を食べながら小竜姫にメールをしていた
『今日の夕食は余り物の弁当頂きました!』
一方そんなメールと写メが届いた小竜姫は、珍しそうに写メを見ていた
「こんびにのお弁当はこんな感じなのですね…」
最近横島がバイトを始めたと聞いてコンビニを知った小竜姫は、コンビニがなんでも屋さんなのだと思っている
『野菜も食べて下さいね。 少し野菜が少ない気がします。 野菜を食べないと健康に良くないですよ』
基本的に考えが古い小竜姫は、明らかに野菜が少ない弁当に思わず優しく注意してしまう
出来るだけ普通の会話をしようとするのだが、根が真面目なためたまに説教っぽいメールがあるようだ
「うーむ、やっぱり病弱な人なんだろうな~ 色白の美女だったりして~!!」
小竜姫のメールを読みつつ、どんどん相手の姿を想像する横島の中では、金持ちの箱入り娘で病弱な美女と言うイメージが固まりつつあった
その後、小竜姫と数回メールをした横島は普通にバイトをこなして行く
「いらっしゃいませ~」
そんな横島がバイトをしている時、一人の女性が客として訪れていた
その女性は店内の商品を数点手に持ちながらも、視線は横島に向いている
「ありがとうございました!」
特に話すことも無くレジを済ませて店を出た女性は、店を出た途端クスクス笑っていた
「思ったよりいい人なのねー、少なくとも小竜姫を騙すつもりは無いみたい」
店を出てしばらく歩いた女性は一言つぶやくと姿が変わる
その女性とは人間に化けていたヒャクメだったのだ
「またね… 横島さん」
小竜姫には高島と名乗っていた横島の本名を知ったヒャクメは、小竜姫と横島のこれからを楽しみにしながら帰って行った
「ありがとうございました~」
レジを去る客に頭を下げる横島が選んだバイトは、夕方のコンビニであった
コンビニを選んだのは、特に理由があった訳ではない
普段通うコンビニの店頭に求人募集を見つけて、面接を受けたら受かってしまったのだ
「横島さん休憩して下さい。 廃棄のお弁当よかったら食べて下さいね」
「ありがとう小鳩ちゃん」
同僚の少女の笑顔に横島は少し照れたように一息ついた
同僚の少女の名前は花戸小鳩、貧乏神に取り付かれている薄幸の少女である
「あいつも貧乏そうやな~」
横島を見てつぶやく貧乏神に、小鳩は少し苦笑いを浮かべた
「貧ちゃん、人を見た目で判断したらダメよ。 それに、横島さん優しくていい人だもの」
客が切れた隙に小声で貧に話し掛ける小鳩、人から見えない貧が相手なため、小声で話すようにしていたのだ
「小鳩にもようやく好きな男が出来たんか!?」
小鳩の微妙な表情に貧は過剰に反応してしまう
「貧ちゃん! そんなんじゃないわ。 それに貧乏神に憑かれてるなんて知れたら嫌われるもの」
少し顔を赤らめた小鳩は、すぐに寂しそうにうつむく
「小鳩……」
貧は涙を浮かべて小鳩を励まそうとするが、小鳩は逆に笑顔で貧を元気づけていく
その頃、横島は弁当を食べながら小竜姫にメールをしていた
『今日の夕食は余り物の弁当頂きました!』
一方そんなメールと写メが届いた小竜姫は、珍しそうに写メを見ていた
「こんびにのお弁当はこんな感じなのですね…」
最近横島がバイトを始めたと聞いてコンビニを知った小竜姫は、コンビニがなんでも屋さんなのだと思っている
『野菜も食べて下さいね。 少し野菜が少ない気がします。 野菜を食べないと健康に良くないですよ』
基本的に考えが古い小竜姫は、明らかに野菜が少ない弁当に思わず優しく注意してしまう
出来るだけ普通の会話をしようとするのだが、根が真面目なためたまに説教っぽいメールがあるようだ
「うーむ、やっぱり病弱な人なんだろうな~ 色白の美女だったりして~!!」
小竜姫のメールを読みつつ、どんどん相手の姿を想像する横島の中では、金持ちの箱入り娘で病弱な美女と言うイメージが固まりつつあった
その後、小竜姫と数回メールをした横島は普通にバイトをこなして行く
「いらっしゃいませ~」
そんな横島がバイトをしている時、一人の女性が客として訪れていた
その女性は店内の商品を数点手に持ちながらも、視線は横島に向いている
「ありがとうございました!」
特に話すことも無くレジを済ませて店を出た女性は、店を出た途端クスクス笑っていた
「思ったよりいい人なのねー、少なくとも小竜姫を騙すつもりは無いみたい」
店を出てしばらく歩いた女性は一言つぶやくと姿が変わる
その女性とは人間に化けていたヒャクメだったのだ
「またね… 横島さん」
小竜姫には高島と名乗っていた横島の本名を知ったヒャクメは、小竜姫と横島のこれからを楽しみにしながら帰って行った