その一
タマモの日記
〇月×日
最近事務所の内部がソワソワと落ち着かない
バカ犬はあっちをウロウロこっちをウロウロ
おキヌちゃんは『これであなたも彼のハートをゲット!』なんて怪しい本を見ながらマフラーを編んでる
美神は一見関係無いような顔をしてるけど、いろいろ悩んでるみたい
よく顔を赤らめては慌てて出掛けたりしてる
そう、後3日で横島の誕生日なのだ
全く…
あんなバカのどこがいいんだか……
おキヌちゃんとシロは横島の誕生日にアピールしたいらしく、半月前からあれこれ悩んでたけど
美神がそれを面白く無いらしくピリピリするから、結局みんなで誕生日プレゼントをそれぞれ用意することになった
こんな下らないことに私を巻き込まないで欲しい
だって私は………
――――――――
タマモは日記を書き終えて閉じると、向かいから呆れたような視線が注がれていた
「タマモ… 日記を書くのは構わんが、なんで俺ん家で書くんだ?」
日記の内容が気になる横島だが、ずっと覗くか悩むが結局覗けなかったようだ
「何処で日記を書いても別にいいでしょう? 知らない仲じゃないんだし…」
意味ありげな視線を横島に向けるタマモは、色気がその体から滲み出ているようだ
「いや… まあそうなんだけどさ。 気になるだろ。 しかも俺ん家に置きっぱなしだし…」
タマモから視線をそらしもごもごとつぶやく横島
「見たかったら見ていいわよ? そんな勇気無いクセに…」
クスクス笑うタマモはゆっくり横島に近寄って行く
そんなタマモに目を奪われる横島の喉がゴクリと鳴る
「いいわよ。 我慢出来ないんでしょ?」
心を見透かしたようなタマモは、ゆっくりと横島に抱きいて自らキスをしてしまう
「タッ…タマモーー!!」
夢中で押し倒す横島に身を委ねながら、タマモは妖艶な笑みを浮かべていた
(悪いわね… 横島はもう、私のモノよ。 こんなバカは誰にもワタサナイ)