その一

第三話

狐の油揚げ屋

そんな珍しい店は
その日も近所の主婦達や、お昼の弁当を買いに来ている人達で混んでいた

「ありがとうございました~」

青年は笑顔でお客に接客していた

「忠夫いなり寿司出来たわよ」

誰が見ても美しい美女が奥からいなり寿司を店先に持ってきた

青年は彼女を見て笑顔でねぎらった

「おう、タマモ。 サンキュー。 もうすぐお昼だからな~ そろそろ忙しくなるな」


「ええ、今日も私のいなり寿司は大人気ね」

美女は自信満々の笑顔で話した

「アハハッ、天下の九尾の妖弧が作る油揚げだからな~ 」

二人は幸せそうに働いていた


青年の名は横島忠夫
年は30才だが、見た目は25才くらい。

彼は13年前の事件で人でなくなり、年を取らなくなり寿命も無くなった

しかし人間社会で生きる為、見た目を変化させることの得意な彼女に教わり見た目を変えて生活していた


彼女は金毛白面九尾のタマモ

見た目も成長して、まさしく傾国の美女にふさわしい女性だった


二人は近所では評判の若夫婦だった

町の人気者な二人だが、人々は知らない…

彼がかつて世界を救った影の英雄だということを…
彼女がその昔、国を滅ぼす大妖怪だと言われたことを…


それは12年前に遡る
横島は高校卒業してすぐにGSを辞めた

理由は、一つはその安すぎる給料。
そしてもう一つは彼女、タマモの存在だった

ルシオラを失った後、全てを一人で背負い何も無かったように振る舞う周りの為に、横島はバカでスケベな横島を演じた。

そんな無理をして壊れる寸前だった、横島に気がついたのはタマモだった


そしてタマモは影で横島を支え続けた

そんな二人は
いつしか、愛し合っていた

横島もタマモも静かに二人で生きて生きたかった

横島は元々お金も名声も求めない上、GSに成りたい訳ではなかった


そんな二人は当たり前のようにGSを辞めた


だが横島がGSを辞めるのはそれはもう大変だった


横島を手放したくない、怒り狂う美神令子

横島の力と能力ゆえ引き止めようとするGS協会や関係者

横島はそれを
グレートマザーの助けを借りて撃破して、ようやく自由で平和な生活を手に入れた


その後二人は小さな町で油揚げ屋を開き静かに幸せに暮らしました

5年前には一人娘が生まれた
それは蛍の転生だった

横島のところには昔の仲間が今でも遊びに来ていた

ただ美神令子とは事務所を辞めて会ってない


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