その一

次の日
タマモは横島の目覚ましで起きた

妖弧のタマモは人間より聴力が敏感だった

突然の目覚ましにビックリしたタマモは周りをキョロキョロ見た

そしてうるさい目覚ましを前足でポンと叩くと音は止まった

まだ眠いが目が覚めたタマモはあくびをして耳をピクピクしていた

ふと隣の横島はまだ気持ちよさそうに寝ている

タマモはそんな横島を起こすことにした
「コン! コン!」

ペロペロ

ペロペロ

タマモは横島に呼びかけて顔を舐めるが横島は起きない

しかたなく
横島の額を前足で叩く

ペシペシペシペシペシペシペシペシ

「う~ん もう朝か~」

眠そうに横島は目を覚ました
目の前にはタマモの顔があった

「おっ! ビックリした~ お前が起こしてくれたのか… ありがとうな」

横島は笑顔でタマモを撫で撫でする

「ク~ン」

タマモは嬉しそうに鳴いた

朝ご飯は昨日と同じカップうどん

タマモがお揚げで横島が麺を食べた

「今日は学校だな~ お前は連れていけないんだよ」

横島はタマモに優しく話しかけるが
タマモは寂しそうな顔をして目をウルウルさせて見上げる

「ク~ン…」


「うっ… タマモ~ そんな顔されたら置いて行けないじゃないか… 困ったな~ 大人しくしてるか?」

横島は困ったような顔をしてタマモに話した

タマモはすぐに笑顔になり、トテトテと歩き横島の頭の上に乗った

「タマモは頭に乗るの好きだな~」

苦笑いしながら横島が言う

「コン!」

元気一杯に答えるタマモを微笑ましく思い横島は学校へ向かった


学校に着くと横島の頭に乗るタマモは目立っていた

「横島くん、その子狐どうしたの?」

横島の周りにクラスメートが集まっていた

「こいつこの前保護したんだ いつの間にか懐かれちゃってさ~ 離れないんだ」

クラスメートは横島に抱えられて撫でられてるタマモを見ていた

「触ってみたいな~」

一人の女子が言う

「うーん」

横島が難しい顔でタマモを見るが横島から離れない

「こいつ警戒心強いからな~ いきなりは難しいな」

タマモは自分から人に近づかない昨日も横島から一切離れなかった


「おはようございます横島さん」

横島より少し遅くピートがやってきた

ピートはタマモを見てすぐに妖弧だとわかった

タマモもピートが人間でないのを理解して
ピートに警戒する

「グルル~」

横島はタマモの頭を撫でて

「ピートは俺の友達なんだ。 敵じゃないよ」

横島が優しく話すとタマモはまた静かに横島の膝で丸くなる

「妖弧ですか? 横島さんに懐いてますね~」

ピートが関心したように話す

「横島くんだしね~ 物の怪に好かれやすいのよ」

横島の前の机の妖怪愛子が笑って話した

そんな微笑ましい会話をしていると
先生が来て授業が始まる

先生は最初タマモを見て困った顔になるが…

「大人しいな~ 横島よりしっかりしてるんじゃないか?」

そんな会話で受け入れられた

良くも悪くも非常識な横島だから
特に問題にならなかった


授業中は横島もタマモも仲良く昼寝していた

机に伏して寝ている横島と丸くなって寝ているタマモは周りから見て微笑ましかったが
先生は呆れていた


そして学校が終わると横島はタマモを頭に乗せて、美神の事務所に向かった

途中横島が綺麗な女をナンパしようとした

「お姉さん! 俺と一緒にお茶しませんか?」

いきなり近づいて手を両手で握ってナンパするが女には逃げられるし

タマモは怒って頬を膨らませる
そして前足で横島の額を叩き続ける

ペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシ

「タッ… タマモ、俺が悪かったから勘弁してくれ!」

ナンパに怒ったのに気がついた横島がタマモに誤る

横島はタマモを抱きかかえて誤りながら頭を撫でるが
タマモはぷいっと横を向いて怒っている
撫でると耳はピクピクするが怒りは収まらない

「わかったよ。 今日の夕飯はいなり寿司にしてやるから機嫌直してくれよ」

横島は歩きながら困ったようにタマモの機嫌をとる

タマモはいなり寿司を知らないが横島があんまり困っているのを可哀想に思い機嫌を直した

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