その一
朝6時半、隣で熟睡する横島をチラリと見たタマモは静かに起き出して、朝食と昼の弁当の支度を始めた
クズ肉を細かく叩きそぼろ状にして甘辛く味付けすると、豚肉のそぼろを作る
魚屋で安く買ったシャケの切り身を焼き厚揚げとジャガ芋で煮物を作ると、弁当のオカズが出来上がった
大きめの弁当に炊きたてのご飯を詰めると豚肉のそぼろをまぶす
シャケと煮物と野菜を彩りで加えると横島の弁当の出来上がりである
「こんなもんね」
ボリュームや味だけでなく彩りまで考えた弁当は、他の人と比べても負けない自信があった
貧乏でもそれを見せないような、弁当を作ってるつもりである
自分が居る限りは恥ずかしい思いなどさせない
タマモの決意とやる気が見えるほど、出来上がりは素晴らしかった
「次は朝食か…… 今日は牛乳があるからフレンチトーストがいいわね」
基本的に朝はパンの耳を主食にした朝食である
お米は高いし一食でもパンにするとかなり食費が浮くのだ
サンドイッチやホットサンドやフレンチトーストなど、タマモなりにいろいろ味を変えて毎朝朝食にしている
熱したフライパンにマーガリンを乗せるといい匂いが部屋に漂っていく
ジュー……
フレンチトーストを焼く音が響く頃、横島はムクッと起き出す
「美味そうだな~」
「起きたなら、布団片付けてテーブル出して」
若干眠そうな横島だが、タマモに言われるがまま布団を片付けてテーブルを用意する
いつからかわからないが三食食べる習慣が出来て以来、朝食を食べないと落ち着かないのだ
「お前って本当にいい嫁になるよなー 将来美人になりそうだし…… こういう場合は俺が花嫁の父になるんだろうか?」
ワンピースにエプロン姿のタマモに、横島は思わず見惚れそうになっていた
そんな自分をごまかすように首を振って無理矢理に話しかけるのだが、振り返ったタマモは不愉快そうである
「私の前に自分の心配したら? アンタの嫁になってくれる人なんて居ないわよ」
不愉快そうなままに反撃するタマモに、横島は言い返せないようでうなだれてしまう
「まあアンタが結婚するまでなら、私が代わりをしてあげるわよ」
「ううう……、俺だって結婚相手くらい……」
へこむ横島をタマモは使いテーブルに朝食を次々に運ばせていく
そんな横島はタマモの言葉の意味を理解出来ないままに朝食を食べ始めた
(本当、こいつの頭の中一度見てみたいわ)
何故自分が娘扱いなのかと不機嫌そうなタマモに、横島はオドオドするばかりである
「はい、お弁当。 バイトで遅くなるなら電話しなさいよ」
「わかった。 行って来るわ。 ……さっきはゴメン」
「いいから行きなさい。 もう怒ってないわよ」
出掛けにタマモの機嫌が気になる横島がオドオドしながら謝るが、苦笑いを浮かべたタマモに見送られ学校へ行き
残ったタマモはそのまま朝食の皿を洗い、布団を干して掃除を始める
「全くもう……、あの馬鹿は死んでも治らないわね」
横島なりに気を使って保護者のように考えているのはタマモも理解してるが、決して嬉しい形ではないし望んだ関係でもない
そう思っいながらも横島の馬鹿なところを受け入れつつある自分に、タマモは再び苦笑いを浮かべてしまう
割とよくある朝の風景だった
クズ肉を細かく叩きそぼろ状にして甘辛く味付けすると、豚肉のそぼろを作る
魚屋で安く買ったシャケの切り身を焼き厚揚げとジャガ芋で煮物を作ると、弁当のオカズが出来上がった
大きめの弁当に炊きたてのご飯を詰めると豚肉のそぼろをまぶす
シャケと煮物と野菜を彩りで加えると横島の弁当の出来上がりである
「こんなもんね」
ボリュームや味だけでなく彩りまで考えた弁当は、他の人と比べても負けない自信があった
貧乏でもそれを見せないような、弁当を作ってるつもりである
自分が居る限りは恥ずかしい思いなどさせない
タマモの決意とやる気が見えるほど、出来上がりは素晴らしかった
「次は朝食か…… 今日は牛乳があるからフレンチトーストがいいわね」
基本的に朝はパンの耳を主食にした朝食である
お米は高いし一食でもパンにするとかなり食費が浮くのだ
サンドイッチやホットサンドやフレンチトーストなど、タマモなりにいろいろ味を変えて毎朝朝食にしている
熱したフライパンにマーガリンを乗せるといい匂いが部屋に漂っていく
ジュー……
フレンチトーストを焼く音が響く頃、横島はムクッと起き出す
「美味そうだな~」
「起きたなら、布団片付けてテーブル出して」
若干眠そうな横島だが、タマモに言われるがまま布団を片付けてテーブルを用意する
いつからかわからないが三食食べる習慣が出来て以来、朝食を食べないと落ち着かないのだ
「お前って本当にいい嫁になるよなー 将来美人になりそうだし…… こういう場合は俺が花嫁の父になるんだろうか?」
ワンピースにエプロン姿のタマモに、横島は思わず見惚れそうになっていた
そんな自分をごまかすように首を振って無理矢理に話しかけるのだが、振り返ったタマモは不愉快そうである
「私の前に自分の心配したら? アンタの嫁になってくれる人なんて居ないわよ」
不愉快そうなままに反撃するタマモに、横島は言い返せないようでうなだれてしまう
「まあアンタが結婚するまでなら、私が代わりをしてあげるわよ」
「ううう……、俺だって結婚相手くらい……」
へこむ横島をタマモは使いテーブルに朝食を次々に運ばせていく
そんな横島はタマモの言葉の意味を理解出来ないままに朝食を食べ始めた
(本当、こいつの頭の中一度見てみたいわ)
何故自分が娘扱いなのかと不機嫌そうなタマモに、横島はオドオドするばかりである
「はい、お弁当。 バイトで遅くなるなら電話しなさいよ」
「わかった。 行って来るわ。 ……さっきはゴメン」
「いいから行きなさい。 もう怒ってないわよ」
出掛けにタマモの機嫌が気になる横島がオドオドしながら謝るが、苦笑いを浮かべたタマモに見送られ学校へ行き
残ったタマモはそのまま朝食の皿を洗い、布団を干して掃除を始める
「全くもう……、あの馬鹿は死んでも治らないわね」
横島なりに気を使って保護者のように考えているのはタマモも理解してるが、決して嬉しい形ではないし望んだ関係でもない
そう思っいながらも横島の馬鹿なところを受け入れつつある自分に、タマモは再び苦笑いを浮かべてしまう
割とよくある朝の風景だった