その一
「こんばんわ~ おばちゃん、油揚げとオカラある?」
「もちろんあるよ。 今日は厚揚げも余ってるから持っていきな」
時間は夕方の六時半
まだ西の空が赤く染まっている頃、タマモはいつものように買い物に来ていた
と言っても相変わらずの極貧生活なため、安い食材や一般にはあまり売られてない食材を選んで買っていく
馴染みの豆腐屋ではタマモが好物の油揚げと、超激安で買えるオカラを買うのが日課である
最近では余り物の豆腐なども貰える時があり嬉しい限りだった
「いつもありがとう! 本当に助かってるわ」
豆腐屋の女将さんにお礼を告げたタマモはパン屋ではパンの耳を、肉屋ではスジ肉の切り落としなどを、魚屋と八百屋では余り物の魚や野菜をどれも閉店間際に行き安く売ってもらう
「今月もギリギリねー」
両手に買物袋を下げたタマモは残金と今月の残り日数を計算するが、やはりギリギリである
「そもそも時給255円で二人暮らす事自体無理があるわ」
ちょっと疲れたようにため息をはくタマモだが、ゆっくりもしてられない
ボロアパートに帰宅すると今日買った食材で夕食の支度を始める
「今日はハンバーグにしてやるかな」
肉屋から安く買った肉を下拵えしてオカラでかさ増しして形を整えたら、後は焼くだけだ
カリカリに焼いた油揚げと野菜で和風サラダと油揚げのみそ汁を作ると、晩御飯の出来上がりである
「我ながら見事な出来上がりだわ」
二人分の激安夕食を前にタマモは満足そうだった
食欲旺盛な横島の胃袋を満足させるのは、それだけ並大抵の努力ではないのだ
「ただいま~、腹減ったー!!」
まるで出来上がりを待っていたかのようにタイミング良く帰宅した横島は本当にお腹が空いているようで、タマモが作った夕食に我を忘れたようにがっついていく
「お代わり!!」
大きめの茶碗に山盛りのご飯を四杯もペろりと食べてしまう横島に、タマモは呆れながらも何処か嬉しそうだった
「アンタって本当によく食べるわよね」
「タマモのご飯が美味いから、つい食べちゃうんだよな~ それよりも俺はあれだけの食費で、なんでこんなご飯が毎日出てくるのか不思議だよ」
「ウフフ、それは私の実力なのよ。 悔しかったらアンタはもう少し稼いで来なさいよね」
渡した食費と出てくる料理の違いに不思議な横島に、タマモ自信に満ちた笑みを浮かべて胸を張る
「助けた狐が恩返しに料理を作るか…… まるで昔話だな。 絵本でも出したら売れるかな?」
「私は妖狐だって言ってるでしょ! 今度狐って言ったらアンタご飯抜き!!」
「すんませんでしたー!」
ぽつりと本音をつぶやく横島にムッとしたタマモが怒ると、横島は即座に土下座してペコペコと謝り出す
どうやらタマモは胃袋で横島をコントロールしてるらしい
(私を助けた貴方には何があっても幸せになって貰うわ。 金毛白面九尾の名に賭けて……)
顔色を青くして土下座を繰り返す横島にもタマモは何処か嬉しそうである
穏やかで平和な日常……
それは伝説の金毛白面九尾が、長い時の中でずっと求め続けたモノなのだから
全ては偶然の出会いから始まっていた
本来は国に退治されそうになるはずの金毛白面九尾が、国に見つかる前に横島に拾われた
ただそれだけのこと……
「もちろんあるよ。 今日は厚揚げも余ってるから持っていきな」
時間は夕方の六時半
まだ西の空が赤く染まっている頃、タマモはいつものように買い物に来ていた
と言っても相変わらずの極貧生活なため、安い食材や一般にはあまり売られてない食材を選んで買っていく
馴染みの豆腐屋ではタマモが好物の油揚げと、超激安で買えるオカラを買うのが日課である
最近では余り物の豆腐なども貰える時があり嬉しい限りだった
「いつもありがとう! 本当に助かってるわ」
豆腐屋の女将さんにお礼を告げたタマモはパン屋ではパンの耳を、肉屋ではスジ肉の切り落としなどを、魚屋と八百屋では余り物の魚や野菜をどれも閉店間際に行き安く売ってもらう
「今月もギリギリねー」
両手に買物袋を下げたタマモは残金と今月の残り日数を計算するが、やはりギリギリである
「そもそも時給255円で二人暮らす事自体無理があるわ」
ちょっと疲れたようにため息をはくタマモだが、ゆっくりもしてられない
ボロアパートに帰宅すると今日買った食材で夕食の支度を始める
「今日はハンバーグにしてやるかな」
肉屋から安く買った肉を下拵えしてオカラでかさ増しして形を整えたら、後は焼くだけだ
カリカリに焼いた油揚げと野菜で和風サラダと油揚げのみそ汁を作ると、晩御飯の出来上がりである
「我ながら見事な出来上がりだわ」
二人分の激安夕食を前にタマモは満足そうだった
食欲旺盛な横島の胃袋を満足させるのは、それだけ並大抵の努力ではないのだ
「ただいま~、腹減ったー!!」
まるで出来上がりを待っていたかのようにタイミング良く帰宅した横島は本当にお腹が空いているようで、タマモが作った夕食に我を忘れたようにがっついていく
「お代わり!!」
大きめの茶碗に山盛りのご飯を四杯もペろりと食べてしまう横島に、タマモは呆れながらも何処か嬉しそうだった
「アンタって本当によく食べるわよね」
「タマモのご飯が美味いから、つい食べちゃうんだよな~ それよりも俺はあれだけの食費で、なんでこんなご飯が毎日出てくるのか不思議だよ」
「ウフフ、それは私の実力なのよ。 悔しかったらアンタはもう少し稼いで来なさいよね」
渡した食費と出てくる料理の違いに不思議な横島に、タマモ自信に満ちた笑みを浮かべて胸を張る
「助けた狐が恩返しに料理を作るか…… まるで昔話だな。 絵本でも出したら売れるかな?」
「私は妖狐だって言ってるでしょ! 今度狐って言ったらアンタご飯抜き!!」
「すんませんでしたー!」
ぽつりと本音をつぶやく横島にムッとしたタマモが怒ると、横島は即座に土下座してペコペコと謝り出す
どうやらタマモは胃袋で横島をコントロールしてるらしい
(私を助けた貴方には何があっても幸せになって貰うわ。 金毛白面九尾の名に賭けて……)
顔色を青くして土下座を繰り返す横島にもタマモは何処か嬉しそうである
穏やかで平和な日常……
それは伝説の金毛白面九尾が、長い時の中でずっと求め続けたモノなのだから
全ては偶然の出会いから始まっていた
本来は国に退治されそうになるはずの金毛白面九尾が、国に見つかる前に横島に拾われた
ただそれだけのこと……