その一

第一話


横島はアシュタロス戦の後GSを辞めた


タマモを助けて、しばらくしてからである



それは彼が事務所に来て部屋に入ろうとした時、聞こえたある会話の為である……

「ねえ、ママはアシュタロスとの戦いも結果も本当は初めから知ってたんでしょ?」

「いつ気が付いたの令子?」

「よく考えたらおかしいのよね~ タイミングよく現れて、私を助けて最終的に生き残った。 全て私の為にうまくみんなを導いたわ」


「あなたが助かる方法をやっと見つけたのよ。」


「まあ私は自分が生き残れたからいいけどさ……」

「令子! 二度とその話を口にしてはだめよ。」


横島は聞いてしまった……
信じられなかった
全てが……

横島はそのまま静かに事務所を出た


「横島さん……」

人工幽霊一号が話しかけてきた


「人工幽霊、今日俺が来たのは誰にも言わないでくれ… 最後の願いだ……」

横島は静かに話した

「わかりました。 どうか、お元気で…」

人工幽霊は全てを悟り別れの挨拶をした

「ああ、お前も元気でな……」

横島もかすかに笑い話した


そして横島は、ゆっくり歩いて行った


その光景をずっと見ていた人がもう一人いた……


「やっぱり人間は信用出来ない」

そう呟いて横島の後を追った


横島は部屋に帰ると荷物を纏め、必要な物と蛍のカケラを持って3年近く住んだ部屋を後にした……


横島が部屋を出るとアパートの入り口に少女が立っていた

タマモだった

横島が驚き見ると静かに声をかけてきた

「さあ、行きましょう…」


「タマモ…… 聞いてたのか? 俺について来ても苦労するぞ…」

横島は困ったように話した


「私は金毛白面九尾の妖弧よ。 狙った獲物は逃がさないわ」

そう言って笑みを浮かべた


結局横島はタマモを連れていった
と言うよりタマモが離れなかったのである


「タマモ… 理由聞かないのか?」

横島がタマモに尋ねる

「いずれ気が向いたら聞くわ」

素っ気なく答えた

横島はタマモの気持ちが嬉しかった


そうして
人類の影の英雄
魔神殺しの横島は世界から姿を消した


横島はその後
半魔族化して人魔になったが魔力を隠し姿を変え
タマモと共に長い旅に出た



残った彼の仲間達は何も知らず彼を探した。
神魔族にも頼り神界や魔界も探したが、彼は見つからなかった

しかし
神魔族の調査は別の物を発見する

それは横島が消えた日の人工幽霊の記憶だった……


神魔族によって全てを知った仲間達により
美神親子は消え去った……

彼らがどうなったのかは誰も語らない


残りの仲間達は
生涯横島を探し続けたが……

結局横島達の生死はわからなかった


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