その一

横島は赤ん坊のルシオラと再開を喜ぶがふと考える


「ルシオラ、俺の言葉わかるか?」

横島は赤ん坊がルシオラには違いないと確信しているが、話が通じてるのかがわからなかった


「あぅ~ だぁ~」

ルシオラは笑顔で横島に抱かれているが、やはり話は理解してない気がする


「と言うか… 魔族の赤ん坊なんてどうやって育てたらいんだ?」

赤ん坊のルシオラの可愛らしさに見とれていた横島だが

少し冷静になると自分は何も知らないことを思い出す


「うーん、赤ちゃんは健康診断とかもするはずだよな~ やっぱり妙神山に行くしかないか… あそこにはヒャクメが居るしな。 それにベスパとパピリオにも会わせたいし」

横島はルシオラを布団に寝かせ、真剣に考えていく


「よし! とりあえず妙神山に行くか!」

横島は着替えをして出かける準備を始める


「だー まー」

ルシオラは着替えをする横島を見て笑っている


「ルシオラはいい子だな~ さあ、出かけるぞ」

横島は赤ん坊のルシオラを抱きかかえてアパートを後にする

「う~ う~ 」

ルシオラは景色をキョロキョロ見て、手を伸ばす

人や車や建物など、いろんな物に興味を示していた


横島はそんなルシオラを見て、胸が熱くなる思いであった


「よく考えてみればあの時のお前も、生まれてすぐだったんだもんな~」

横島はかつてルシオラが言っていた言葉をふと思い出す


『図体や知能の割に経験が少なくてアンバランスなの…』


横島は今の赤ん坊のルシオラを見て、あの時のルシオラと変わらないのだと感じる


「あの時…、初めて見た世界はお前にはどう見えてたんだ?」

横島は少ししんみりとした表情で、目を輝かせて景色を見るルシオラにふと語りかける


赤ん坊のルシオラには伝わっては無いが…

横島の変化を不思議に思ったのか、ルシオラは横島の胸をペシペシと叩く

「だぁ~ だー」

嬉しそうに横島をペシペシと叩くルシオラの姿に、横島は苦笑いを浮かべる


「ああ、ごめんな。 元気出すよ」

横島にはルシオラが励ましてるように感じた


横島が笑顔に戻り頭を撫でると、ルシオラは再び嬉しそうにニッコリと笑う


「さて、美神さんに一言伝えて妙神山に行きますか」

横島はルシオラに景色を見せながら事務所に向かう


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