その一

それから数時間後…

リビングは凄まじい状況になっている


自分の知らない所で横島のこれからが決まり面白くなかった令子は、ストレスを発散するように回りのメンバーに酒を強制的に飲ませていたのだ


まず犠牲になったのが冥子である

「みんな~ 出ておいで~!」

お酒でフラフラの冥子は室内で式神達を遊ばせようとする


「ちょっと! あの子に酒飲ませた馬鹿は誰なワケ!」

プッツンしそうな冥子からみんな逃げ出すが、プッツンする寸前に小竜姫によって眠らされてしまう


「皆さん…、せっかくの新居を破壊したらダメですよ?」


ゴゴゴゴー


竜気を解放して騒ぐメンバーにプレッシャーをかける小竜姫だが、30分もしたらまた騒ぎだしていた

そしておキヌや雪之丞やタイガーや小鳩や愛子など、未成年のメンバーは早々に酔い潰されて終わる


「令子… 横島を取られて寂しいのはわかるけど八つ当たりしないで欲しいワケ」

あまりの令子の暴れた飲みっぷりに、エミは嫌みを口にしていた

この機会に日頃の仕返しをしようと言う魂胆がみえみえである
 
「別に私は横島がどうなろうが関係ないわ! ってか横島はどこ行ったのよ!!」

いつの間にか姿が見え無くなっていた横島を探して叫ぶ令子

そんな哀れな姿に美智恵や唐巣や魔鈴やピートやカオス達は、引きつった笑みを浮かべていた



そしてその頃横島とルシオラ達姉妹とヒャクメは、2階に避難していた


「美神さんうるさいな~ あの人引っ越し祝いじゃなくて嫌がらせに来たみたいだな」

酒乱気味の令子の声が一階から響くたびに、横島はため息をはいていた


「あんな人間だったとは……」

令子をよく知らないベスパは、あまりの暴れっぷりにワルキューレ達が前に言っていた言葉を思い出す

『美神令子は魔族よりも悪どい!』

魔族のワルキューレがそう言い切ることに驚きを感じていたベスパだが、あの姿を見るとワルキューレの言葉が真実だったと納得していた


「うるさいでちゅ…」

ルシオラと並んで寝ていたパピリオだが、下の騒ぎが煩くて寝れないようだ


「クスクス… 美神さんは横島さんが居なくなったから、寂しいのねー」

令子の気持ちをたまに覗いているヒャクメは、一人楽しそうである

あそこまで意地っ張りであまのじゃくな性格は、見てるだけで楽しいようだ


「いい加減にしなさい!!!」

令子とエミの口げんかが乱闘になろうとしたのだろう

本日二度目の小竜姫の声が響いてくる


「ふぎ… うぐ…」

「ほ~ら、ルシオラ大丈夫だぞ~」

一階の騒ぎで寝れないルシオラがぐずり出すが、横島が文珠で消音を部屋に働かせてルシオラを寝かしつける


結局、令子は小竜姫に追い出されるように帰ってゆく

魔鈴や唐巣達には、また遊びに来て下さいと言っていた小竜姫だが、令子にだけは言わなかった

かなり頭に来たようである
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