その一

 第二話

『ある春の午後』


それはある春の日の出来事

横島とルシオラはいつものように二人で除霊をした帰り道……


「ヨコシマ、春って気持ちいいわね~」

ルシオラは横島の腕を組んで、ご機嫌な様子で話した

二人は河原に咲く桜の並木道を歩いていた…


桜の下では人々が楽しそうに花見をして騒いでいた


「ルシオラは春が初めてだもんな~ 春は花が咲き、緑が生い茂る。 新しい命が溢れる季節なんだよ」


横島は楽しそうなルシオラの表情に思わず笑みがこぼれていた

ルシオラは桜を見上げて幸せそうに見つめていた


「知識では知ってたけど、実際に見ると全然違うわね~ 生きてるパワーを感じるわ…」


「ルシオラもこれからいろんな体験が出来るさ。 夕日も綺麗だけど、夜桜も綺麗だぞ」


横島はキョロキョロといろんな物を見るルシオラに笑いながら話した


「そうよね! 横島と一緒にいろんな場所に行きたいわ!」

ルシオラはそう話して、横島に抱きついた


「ああ、ルシオラが守った世界には楽しい事がたくさんあるよ。 一緒にたくさん行こうな…」


横島は立ち止まりルシオラをしっかり抱き締める


「ヨコシマ…」

「ルシオラ…」


二人は桜に囲まれて抱き合った


「若いっていいわね~」


「二人共見せつけるね~ 羨ましい!」

周りで花見をしていた人達が、横島とルシオラを見て話していた


横島とルシオラはそんな周りの視線に気が付き、顔を真っ赤にして小走りに逃げていった


「あいつら… いいとこで邪魔しやがって~」

横島は周りの人達に文句をつけていた


「いいじゃないの 幸せな証よ!」


ルシオラは恥ずかしかったが、それはそれで幸せだった


「明日休みだし、上野公園に花見でも行こうか? あそこはもっと桜があるし、出店も楽しいぞ」


横島はルシオラを見て話した


「本当に!? 行く行く! じゃあ私がお弁当作ってあげるわ!」


ルシオラは笑顔で横島にまた抱きついた

ルシオラの笑顔と揺れる触角が、とても可愛らしかった…


「おう! 楽しみにしてるよ。 恋人と花見に行けるなんて去年は考えられなかったな~」


横島もルシオラも幸せ過ぎて笑顔が絶えない


二人はあの戦いの後、ずっとラブラブだった

人前ではイチャつかないが、目が合うと幸せそうに微笑む

横島もルシオラ以外にセクハラをすることは無くなった

そんな横島がルシオラを見る温かく優しい笑顔

そんな横島とルシオラに
最初はヤキモチでイライラした、美神とおキヌもいつの間にか慣れていった

最早二人の間な入り込める隙間すらなかった

「ねえ…ヨコシマ… 私…幸せよ。 あなたに会えて良かった」


「ああ、俺も幸せだよ。 俺達はずっと一緒だよ。」


二人は見つめ合い…


一瞬だけキスを交わした


そして二人は暖かい春の日差しの中、ゆっくり歩いていった…


そんな平和な午後の出来事


横島とルシオラの普通の1日


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