その一

それから、小竜姫とヒャクメは横島に人界で生きる際の注意点などを話していく


基本的な事は、力を無闇に使わないなどであるが…


「力ってどうやって使うんすか?」

横島は力の使い方など知らない


「どうやってって、いつも霊力を使ってるでしょう?」

小竜姫は首を傾げる


「横島さん…、あなた霊力の使い方知らないのね…」

ヒャクメは横島の心を覗いたのか、微妙に引きつっていた


「そんな… 今までどうやってたんですか?」

小竜姫は不思議そうに横島を見つめる


「いや、霊波刀や文珠は自然に使えるようになりましたし、霊力は煩悩全開で…」

横島が困ったように話すと、小竜姫はアシュタロス戦の時を思い出したのか

微妙に複雑そうな表情をする


「………」

小竜姫とヒャクメは言葉が出なかった


「すいません」

横島はその場の空気にたまらず謝ってしまう


「とりあえず、神気と魔力を人間並に封印しましょうか」

小竜姫はため息をついて結論を出した


「それがいいのね。 横島さんが今の状態で煩悩全開なんてしたら、何処まで霊力が上がるかわからないのねー」

ヒャクメも横島を調べれるが、霊力の最大値以前にコントロールが全く出来ない為わからない


その後、小竜姫は横島のバンダナに再び竜気を与え、横島の神気と魔力を封印する役割を与えた


この時、小竜姫の顔が微妙に赤かったのはヒャクメしか知らない


ヒャクメはそれを横島に教えようとしたが…

小竜姫の無言の圧力により断念する


「あ~ うぐっ…」

横島達が話しているうちにルシオラが起きたらしく、泣きそうになっていた


「横島! ルシオラちゃんが泣きそうでちゅ!!」

ルシオラを見ていたパピリオは、慌てて横島の元にルシオラを渡す


「ルシオラ、どうした?」

横島はルシオラを抱きかかえて、あやすように話しかける


「うぐっ… ふぎっ…」

ルシオラは横島が抱きかかえても泣き止まない


「ちょっと見せてみるのね~」

困った様子の横島の横からヒャクメがルシオラを覗き込む


「ふむふむ… ルシオラちゃんはお腹が空いてるのね!」

ヒャクメは自信満々に言い切る


「そっか! 朝から何も食べてないからな~」

横島は思い出したように苦笑いした

よく考えてみると自分も空腹だった


「じゃあ、何か作って来ますね。 ルシオラちゃんは何がいいんでしょう?」

小竜姫は少し考えてヒャクメを見る


「基本的に砂糖水で十分だけど、ミルクに砂糖を入れた方がよりいいのねー」

小竜姫はヒャクメの言葉を聞き、横島とルシオラの食事を作る為に台所に向かう


「神魔って何食べるんだ?」

横島は小竜姫を待つ間、ルシオラをあやしながらヒャクメに疑問を聞いていく


「基本的に人間が食べる物を食べれるのねー。 神魔界にある食べ物は人界と違うけど、別に人界の食べ物でもいいのね」

ヒャクメは嬉しそうに横島に説明する

いつにも増して役にたっているのが嬉しいようだ

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