その一

パピリオの言葉に、小竜姫とヒャクメは興味深げに横島を見つめる


「そんなに見つめられたら照れるっすね~」

しばらく真剣に考えていた横島だが、考えたからと言って簡単に答えなど出ない

小竜姫とヒャクメに見つめられ、恥ずかしいような嬉しいような軽い調子で笑った


「横島さん、あなたの体がおかしいのですよ! 笑ってる場合ですか!」

小竜姫は軽い調子の横島を一喝する


「でも特に体の調子は普通っすけどね」

横島は小竜姫に怒られて困ったように頭をかく


ヒャクメはその間に心眼でジッと横島を見て調べていた


「横島さん…… あなたもう人間じゃないのね……」

ヒャクメは悲しそうな表情で横島に現実を告げる


「ヒャクメ、どういうことです?」

ヒャクメの言葉に小竜姫は険しい表情になり問い詰めた


「理由はわからないけど…、半神半魔になってるのね。 しかもピッタリ半分ずつ」

ヒャクメは何時になく真剣な表情だ

さすがに問題が問題だけに気を使ってるようである


「それは今までと何が違うんすか?」
横島は少し自分で考えてみたが、良く知らなかった


「横島さん…」

小竜姫は事態の深刻さをまるで理解してない横島に、呆れたようにため息をはく


「人間じゃなくなるから寿命がまるで違うのね。 それに老化しないから、人間社会で生きるのは辛いのね」

ヒャクメは簡単に横島の生活に与える影響を説明する


「寿命か… じゃあ、ルシオラと同じなんすね!」

ヒャクメと小竜姫の複雑そうな表情とは裏腹に、横島は嬉しそうに眠っているルシオラを見た


「横島さん! いいんですか!? 美神さんやおキヌちゃんと違う時を生きるんですよ!?」

小竜姫は喜ぶ横島に驚き目を見開き問いかける


「ルシオラは俺を助ける為に命を分けてくれました。 自分が消滅するのを覚悟して… そんなルシオラにまた会えて同じ時を生きれる。 俺はそれだけで満足ですよ。 それに小竜姫様達とも同じ時を生きれる。 良いことだらけじゃないっすか!」

横島は真剣な表情になり、自分の気持ちを小竜姫達に伝える

ガラじゃない言葉に、少し恥ずかしそうにしながら語ったその表情は、大人の男の表情にも見えた


「横島さん」

小竜姫は少しホッとしたように微笑む


元々、人だろうが人外だろうが気にしない横島

大切なのは美人かどうか…

そんな横島に人間じゃなくなる大変さが理解出来るはずはない

小竜姫は横島のこれからに不安を感じつつ、どこかで横島と同じ時を生きれることを喜んでる自分が居た


11/27ページ
スキ