真の歴史へ

それから数日後

横島の事務所におキヌが一人でやってきた

「久しぶりだね~ おキヌちゃん! 今日はどうした?」

横島は笑顔でおキヌに話した

「はい、実は… 美神さんがお母さんに言われて、オカルトGメンに行ってしまったんですよ。 それで私、暇になっちゃって…」


おキヌは相変わらず天然な感じだが、ちょっと寂しそうに話した


「それで遊びに来たのかい?」

「いえ、ここで雇ってもらえないかと思いまして…」


おキヌは横島の様子を伺うように話した

「えっ? おキヌちゃん働きたいの?」

横島は驚いた

この世界ではおキヌとそれほど接点が無いのに、自分のところに来たからだった

「はい… 美神さんは当分Gメンで働くそうで、毎日美神さんの事務所で一人でいるのは寂しいので… 横島さんなら雇ってもらえるかと考えたんですよ」

おキヌはぷよぷよと浮きながら話していた


横島は一緒に近くに座っていた、ルシオラと小竜姫とタマモを見て念話で相談した


(どうする?)

横島は伺うような表情だった
(ここに置いてあげた方が安全ですよ。 近いうち、死津藻比女も退治しないといけませんし… 美神さんの側だと魔族が来るので危険です)


(そうね… 幽霊の彼女が事件に巻き込まれるのは危険よ。 一歩間違えば消滅してしまうわ 彼女はGS試験や原始風水盤の事件でも現場に居たんでしょ? 歴史はすでに変わってるから、今回も安全だとは限らないわ。)

(過去の横島にとっては大切な仲間だったんでしょ? 助けてあげるなら近くに置いた方がいいわよ)

小竜姫、ルシオラ、タマモが自分の意見を言った

みんなおキヌを雇うのに賛成なようだ


横島自身はおキヌは助けたい

かつて貧乏な時
いつも助けてくれたのは彼女だったのだから…

日給30円で貯めたお金を、貸そうとしてくれたこともあった…


力が無く、情けなかった自分の最初の味方だったのだから…

「いいよ。 おキヌちゃんを雇うよ。 美神さんに話して今日からうちに居るといい。」

横島の話におキヌは満面の笑みで喜んだ

「ありがとうございます。 頑張ります。」

嬉しそうなおキヌに横島だけでなく、ルシオラ達も喜んでいた

「給料はいくらほしいんだい?」

横島はさすがに日給30円で雇う気は無かった

美神のように守銭奴ではないし、逆に日給30円で雇うなんて、常識が無いみたいで恥ずかしかった…


「私は日給30円でいいですよ。 お金は使いませんし…」

おキヌは当たり前のように話した

それには横島だけでなくルシオラ達までも苦笑いしていた

「あの~ おキヌちゃん… 普通に仕事するなら時給800円くらいで普通なんだけど…」

横島は困ったように話した

「えーー!! 私の日給の数十倍じゃないですか!!」

おキヌはあまりの大金にオドオドしてしまった


「おキヌさん、当たり前の給料を払わないと、横島さんが笑われてしまいますから…」

たまらず小竜姫が助けに入る

「でも美神さんは…」

おキヌもどうしていいかわからないようだった

「おキヌちゃんさ、お金が足りない訳じゃないんだし貰っておけばいいわよ」

タマモもあまりお金にはこだわらないが、多くて悩む気持ちはわからなかった


それは300年幽霊をしたおキヌにしかわからない感覚なんだろう


「はい… 雇って貰えるだけで満足なんで後はまかせます。」

おキヌは困惑したが、横島のやり方に従うのが一番だと考えたらしい

その日の夜
話を聞いた美神はあまりいい顔をしなかったが、Gメンにいる以上おキヌに構ってやれないし

一人無人の事務所に置いておくのも可哀想なので了承した

おキヌの時給を聞いた時は顔が引きつっていたが……


そうして、横島の事務所の新たなメンバーが加わった


横島の事務所はメンバーが多いが、GS免許を持つのが横島一人というアンバランスな事務所だった…

そのため仕事量はさほど多くなく、おキヌも電話番と雑用くらいしかやることが無かった


ただルシオラ、小竜姫、タマモと仲良く生活しているので、本人は楽しいようだった


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