真の歴史へ

場所は変わって
横島と雪之丞が向かい合っている

タマモは少し離れた場所で見ていた

「どっからでもかかってこいよ。」

横島は雪之丞の力を知ってはいるが、さすがに今の横島の敵では無かった

「余裕だな… その余裕を消してやるぜ!!」

雪之丞は気合いを入れて走り出した

横島に接近して至近距離から格闘を挑んだ

全身に霊気を回して身体能力を強化してはいるが、コントロールが甘く不安定だった


横島は最低限の動きで雪之丞の攻撃をかわす!

それはまるで風や水を相手にしているような感じで
雪之丞には全く手応えがなかった

横島にしたら雪之丞の動きは早い遅い以前の問題だった

予備動作や霊気の流れが読みやすく、攻撃がくる前に読めたのだった

10分ほど雪之丞は攻撃をするがかすりもしなかった


雪之丞はレベルの違いに驚いた
強いのは横島を見てすぐわかったが、かすりもしないとは思わなかった

強い相手と戦える
その喜びで雪之丞は思わず笑みが出る

横島とタマモはそれを見て思った

((バトルジャンキーだな…))

雪之丞は勝ち目が無いのを理解して横島から距離を開けた


「さすがに強いな… いや予想以上だ。 お前の実力すらわからん。 俺はせめて自分の全ての力をぶつける!!」


雪之丞は残りの霊力を高め両手に集中した

横島は雪之丞の攻撃をすぐに読んだ

「いくぜ!! 連続霊波砲!!」


ドドドドドッ!


横島はサイキックソーサーを作り全てを弾く


キンキンキンキン!

雪之丞は霊力の限り放った

横島の周りは横島が弾いた霊波砲が地面に当たり、土煙が舞い上がって雪之丞からは見えない


雪之丞は自分の霊波砲が当たったかわからずに静かに見ている


「チェックメイトだ。」

雪之丞は突然背後から声をかけられ振り向いた

そこには霊波刀を首筋に突きつける横島がいた


「すげー。 全く気がつかなかった。 俺の負けだ…」

雪之丞は悔しいと言うよりは驚きが増していた

「お前の攻撃は読みやすいんだよ。 動きも大きいし、戦い方もわかりやすい。 才能はありそうだからな、修行をすれば強くなるさ。」

横島は霊波刀を消して雪之丞に話した

「あ~あ、ホコリまみれじゃない… 今日は帰ってお風呂ね」

ずっと見ていたタマモが、歩いてきて呆れたように横島に話した

「すまんな、うどん屋はまた今度だ」

横島は苦笑いしながらタマモに話した

そんな中何かを考えていた雪之丞が突然話し出した

「俺を弟子にしてくれ!! あんたの強さに感動した!」

横島とタマモにとっては予想通りの展開だった

「本当は弟子なんてとってないんだがな… だがお前ならいいだろう。 ただしお前は今誰かに教わってるんだろ? そこをきっちり辞めてこい。」


横島は雪之丞が魔装術を使って無いため、まだメドーサと出会う前だとわかっていた

メドーサが白龍寺に行くのはもうすぐだろう

元々人間を見下しているメドーサは、GS試験の為に人間に魔装術は教えても修行はつけてないはずだからである


「ああ、わかった。 明日あんたの事務所に行くよ」

雪之丞はそのまま走って帰って行った


「これで雪之丞は大丈夫だな。 かつては友達だったからな… しかもあいつは何があっても味方してくれた。 今回は事前に救えてよかったよ」

横島は嬉しそうにタマモに話した

タマモも横島の性格を知っているし、雪之丞も嫌いでは無かった

逆行前
横島の仲間なら俺も仲間だ

と言って自分を妖弧と知っても変わらなかった


そんな二人が苦しまないで済むのは嬉しかった



次の日
雪之丞は約束通り横島の事務所に来た

横島はすぐに雪之丞の部屋を探してやり、事務所で雇うことにした

そして雪之丞に小竜姫とルシオラとタマモの正体を最初に教えた

雪之丞もまさか神族と魔族と妖弧が一緒に働いているのを知り驚きを隠せなかった

だが雪之丞はみんな強いと知るとそれで満足みたいだった


ここなら自分は強くなれる!

その気持ちが一番だったようだ



雪之丞の修行は小竜姫が中心になり、横島やルシオラやタマモも参加して行われた。

小竜姫はやはり人に教えるのが好きなようで雪之丞とピートを積極的に教えていた


雪之丞は霊力や格闘の基礎は出来ているので、やはり今回も魔装術を教える事にした
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