真の歴史へ

横島達が北海道から帰ってしばらくしたある日
横島の事務所にピートが来た

「おうピート、今日はどうした?」


事務所の応接室には横島とピートが座っていた

ルシオラは北海道から帰って移動兵鬼の開発を始めたらしく、異界の研究室にいた

タマモは散歩に行くと出かけていて

小竜姫は今お茶を持って来て横島の隣に座った


「実は、修行をお願いしたくて来ました。」

ピートは真剣に横島に頭を下げた

「修行? それなら神父がいるだろう」

横島と小竜姫は首をひねりピートを見た

「僕は今まで先生に教えてもらってましたが、吸血鬼の力を使っていませんでした。 それで魔力や吸血鬼の能力はあまり使いこなせてません。 先生では魔力の使い方はわからないそうなので小竜姫様でしたらと思いまして…」


ピートはもうしわけなさそうに話した


横島と小竜姫は念話話し出した

(小竜姫どうする?)

(ピートさんの場合潜在的能力は高いですからね~ 教えれば戦力アップは役にたつんじゃないでしょうか?)

(そうだな… その方いいか)

2人は静かに頷いた

「ピートさん、唐巣神父に話して了解が出たらいいですよ。 幸いうちの事務所にはルシオラさんが居ますし、魔力の使い方は彼女で戦い方は私が教えます。」

「そうだな 神父には世話になってるしな」

小竜姫がピートに説明して横島も同意する

ピートは真面目に頭を下げた

「ありがとうございます。 よろしくお願いします」

その姿に横島は苦笑いした

「ピート、頼むから敬語はやめてくれ… 仲間だろ? 楽にしてくれ。 それに小竜姫も一応神族ってのは極秘だからさ」

「わかりました。 横島さん」

ピートはやっと笑顔を見せた

横島は少し真面目過ぎる性格をなんとかしたらいいがと思うが、唐巣神父も同じだしな~
無理だな
そう思った


それからピートは週に2、3回横島の事務所で修行をした

場所はルシオラの研究室のある異界である

異界にはルシオラの実験の為の場所が広くあり、誰にも知られずに横島達が戦闘訓練をするにはちょうどよかった

無論ピートには口止めをしている
生真面目なピートなら他人に話すことは無いだろう



それからしばらくして
横島はタマモと除霊に行った帰りに街を歩いていた

「横島、新しいキツネうどん屋に行こうよ~」

タマモは横島の腕を組みその大きい胸を押し当てた

タマモは傾国の美女と言うだけあって
ルシオラ達の中で胸は一番大きかった

具体的には美神令子より多少スタイルがいいくらいである

今のタマモは
金毛白面九尾の記憶と妖力を完全に制御しているので

その為姿は大人だが中身はあくまでタマモだった


「しかたないな~ 一杯だけだぞ? 夕飯食べれなくなるからな」

横島も少し困ったように話すが顔は笑顔だった


そんな時
横島とタマモの顔色がふと変わる

目の前にいる黒ずくめの男から微かだが殺気を感じるからだ

「なんかようか?」

横島は静かに目の前の男に話した


「あんたが横島忠夫か? 噂じゃあ強いんだってな… ちょっと戦ってくれよ。」


目の前の男を横島達は知っていた

それはかつて逆行前の横島のライバルだった男だった

その名は伊達雪之丞だった…

横島とタマモは雪之丞の真意がわかり心の中で苦笑いした


「カツアゲかなんかか?」

「そんなことするわけないだろ! 若手でいち押しのGSの力が知りたいんだ! 一勝負してくれよ!!」

横島のボケに雪之丞は真面目に否定した。

(相変わらずバトルマニアだな~)

(ちょうどいいんじゃないの? 今の内に味方にしちゃえば?)

念話で呆れたように話した横島にタマモが味方にするのを進める

確かに雪之丞がメドーサの部下になるのは避けた方がいいかもしれない

過去の雪之丞は
メドーサの部下だったという経歴の為かなり苦労していたのを知っていたからだった


「ああ、いいよ。 場所移動しようか?」

横島は普通に雪之丞の誘いを受けて近くの空き地に移動した

雪之丞は横島があっさり引き受けたのを驚いたがバトルマニアらしくニヤニヤして嬉しそうだった


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